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ストレスと病気の関係(心血管疾患、高血圧、胃腸疾患、糖尿病、がん・癌、喘息)

こんにちは。寺谷です。

ストレスマネジメントや職場でのストレス対処法について述べてきましたが、今回はストレスが以下に健康に害を及ぼすかについて説明してきます。

ストレスマネジメント大全-ストレスを解消し、減らす8つのポイント/方法-

また、ストレスに対してどのように対処すべきかというのを健康面から考察をしていきたいと思います。

今までは瞑想などのストレスを減らす技術は、良いものではあるが効果としてはほとんど期待できないと信じられてきました。

しかし、最新の研究ではマインドフルネスや瞑想などはストレス軽減効果があると立証されています。

慢性的なストレスが身体に与える影響

慢性的なストレスが身体に様々な悪影響を及ぼすことは、皆さんの感覚のとおりかなり大きいです。

とても忙しい日を、一掴みのキャンディやタバコの力を借りて気を紛わせながら乗り切ったことがあれば、このことは身をもって理解していることでしょう。

しかし、キャンディやタバコなどの副次的な不健康などよりも、ストレスが身体に及ぼす悪影響は直接的なものです。

慢性的なストレスが身体的な健康を徐々にむしばむという証拠は豊富にあります。

めまいがするほどに血圧を上げ心臓に害を与えます。糖尿病、喘息、胃腸障害の原因にもなります。また、強いストレスは加齢も促進します。

一方、大きなストレスにさらされていない人は健康である傾向があります。なぜなのか理由を考えてみましょう。

健康上の問題は、ストレスに密接に関係している

ストレスは健康状態を良好な状態から、最悪な(最悪とは言わないまでも、かなり悪い)状態へと悪化させます。悪い状態には以下のようなものがあります。

  • 皮膚のアレルギー反応
  • 高血圧
  • 不安
  • 関節炎
  • 便秘
  • うつ状態
  • 糖尿病
  • めまい
  • 歯周病
  • 頭痛
  • 狭心症(胸の痛み)、不整脈、心臓発作、心悸亢進(動悸)などの心臓の問題
  • 胸やけ
  • 高血圧
  • 風邪やヘルペスなどの感染症
  • 不眠症およびその結果として生じる疲労
  • 過敏性腸症候群
  • ほてりなどの更年期症状
  • 「朝の病気」吐き気や、つわり
  • 神経過敏
  • 腰痛、頭痛、腹痛、筋肉痛、関節痛、手術後の疼痛、および多くの状態によって引き起こされる慢性疼痛を含むあらゆる種類の痛み
  • パーキンソン病
  • 手術後の腫れ
  • 月経前症候群(PMS)
  • エイズの副作用
  • がん、がん治療の副作用
  • 怪我の治りが遅い
  • 潰瘍

さて、ストレスが影響を与える症状を並べ立ててみましたが、ストレスが以下に悪影響を及ぼすものなのかをわかっていただけたかと思います。

これだけの症状に悪影響を及ぼすのです柄、ストレスは健康の敵といってもいいでしょう。

ここからは各種病気に対してストレスがどのように作用するかをみていきましょう。

心血管疾患とストレスの関係

心血管疾患は、心臓または血管に影響を及ぼす疾患を含みます。慢性的なストレスは、代表的な三大疾病(動脈硬化、心臓発作、高血圧)の原因となります。

ストレスはまた、心房細動、動悸、心室性期外収縮、および他の不整脈(異常な心臓の鼓動)を引き起こす可能性があります。

手術や愛する人の死など、身体的または感情的な辛い経験が、ストレス性心筋症などの一般的では無い病気を起こす原因にもなります。

うつ状態、不安、怒り、敵対心、孤独を含む多くの心理的要因がストレスを促進します。仕事、家族、家計などに関する社会的要因に対処しましょう。

孤立してしまうことや、他のさまざまな要因が心疾患の可能性を高めてしまいます。複数の要因が重なったときに指数関数的に心疾患の可能性は高まります。

ストレス管理は心血管疾患に対して有効なのか?

この問いへの答えは「YES」です。

ストレス管理がいかに有効であるかを示す最も有力な証拠が、心疾患の研究から得られています。

ある高齢者向け医療保険制度が、米国心臓ジャーナルから資金提供を受けて、全国的に有名な二つの実験をしました。

ベンソン-ヘンリー心身薬剤研究所による心臓健康プログラムと、ディーン・オーニッシュ博士による心疾患からの回復プログラムです。

どちらのプログラムも、ストレス管理、運動、栄養相談などによってライフスタイルを変えることで心臓の健康を改善することを目指しました。

開始時は心臓病を患っていた被験者が、三年間に及ぶ研究の終わりには体重が減り、血圧レベルが下がり、コレステロール値が改善し、より大きな心理的幸福を得たと報告されました。

両方のプログラムによって心機能が改善したことも認められました。ベンソン-ヘンリープログラムによって死亡率の低下や心疾患での通院者数を減らす効果があることがわかりました。

心臓発作を経験したり、心臓手術を受けたりした後にも、ストレスマネジメントは心臓リハビリテーションの効果を高めるのに有効です。

高血圧とストレスの関係

ストレス管理は特に高血圧に対して効果があるとされています。

血圧は一日の中で絶えず変化しており、運動したときや機嫌が悪くなったときに高くなり、静かに休んでいるときや眠っているときに下がります。

ストレスホルモンが分泌されると、心拍数や血圧が上昇します。この上昇は一時的なもので、たいていは危機が去れば心拍数や血圧が下降しますが、ストレス反応が繰り返し起こり、血圧が高くとどまったままになることもあります。

高血圧は心臓に血液を循環させるのをより困難にし、最終的には心筋を肥大化させます。

心臓に関しては、筋肉が大きいからといって必ずしも心臓機能が強化されるわけではありません。

常に同じ強さで心臓の筋肉に血液が供給することができずポンプ機能が衰えて、心臓機能が衰えるような心疾患につながります。

高血圧は、アテローム性動脈硬化を促進し、動脈壁を損傷させます。実際、血圧が高くなるにつれ、心臓発作、心疾患、腎疾患などのリスクが高まります。

ストレスマネジメントは高血圧に対して有効なのか?

この問いへの答えは「YES」です。

リラクゼーション反応を促すことは、血圧を下げるのに有効です。

さまざまな技術に効果が認められており、例えば、アメリカ心臓協会の2013年科学声明によると、多くの研究で、瞑想がわずかに血圧を下げるという結果が出たということでした。

ランダムに抽出された高齢者向けの試験によると、8週間のリラクゼーション反応プログラムなどのストレス管理技術を使ったリラクゼーションの訓練をすることで、血圧をコントロールする薬品の量を減らすことができたそうです。

胃腸疾患とストレスの関係

胃腸は感情の影響をとても受けやすい臓器です。怒り、不安、悲しみなどのストレスは胃腸疾患のきっかけとなります。

神経が、脳と胃腸に密接に関係していることは一般的に想像しやすいことと思います。腸は、消化のすべてのプロセスを監督し、中枢神経系(脳および脊髄)および腸内微生物(広範な生態系)の両方から強く影響を受け、約一億という数の神経からなる複雑な腸内神経系によって制御されます。

10年以上前、有力な新聞が胃腸について、心理と身体の状態が原因で、胃痛や腸の疾患が起こるという記事を出しました。

記事によると、胃腸機能障害で内科治療を受けている人たちは、厳しい生活のストレスを受けている傾向があるとのことでした。消化器系が、強い感情や精神的ストレスに反応を起こすという実験結果もあります。

ストレスは、胸やけや食道炎の原因となる胃酸の分泌を増やし、これは潰瘍の遠因にもなります。

ストレスはまた、小腸や結腸の異常な収縮を引き起こし、胃腸管内の食物が通るスペースを狭くして、過敏性腸症候群(IBS)を悪化させます。

ストレス管理は胃腸疾患に対して有効なのか?

この問いへの答えは、「過敏性腸症候群(IBS)の患者であれば、かなりの確率でYES」です。

糖尿病、消化器および腎臓病の研究所は、瞑想やマインドフルネス、催眠療法、認知行動療法、および他の形態の心理療法などの、ストレス管理を試すことを推奨しています。

糖尿病とストレスの関係

アメリカでは2600万人近くの人が糖尿病を持っていると見積もられています。日本だと1000万人が糖尿病を持っていると言われています。

患っていることを自覚している人も、自覚していない人もいます。大部分である90%〜95%は肥満、偏った食生活、運動不足などから引き起こされる2型糖尿病です。

さらに7900万人のアメリカ人が、前糖尿病と呼ばれる、正常値を超える血糖値の持ち主であり、いつ本当の糖尿病にかかってもおかしくない状態です。

慢性的なストレスは糖尿病の直接的な原因とは考えられていませんが、ストレスにより血糖値をコントロールしづらくなることは分かっています。

また、プレッシャーを和らげようとするあまり不健康な習慣に陥ってしまうと、問題が複雑になります。ストレス解消のためにスイーツを食べ過ぎたりなどですね。

血糖値を医学的に推奨される一定の値に保つことは、糖尿病に起因する多くの合併症を防いで、進行を遅らせるのに効果があります。心疾患(糖尿病患者の死因第一位)、腎症(腎臓障害または疾患)、心理社会的ストレスに対しても効果があります。

ストレス管理は糖尿病に対して有効なのか?

この問いへの答えは「おそらく有効」です。

ストレス管理が有効な証拠として、最も有力なのは2型糖尿病に対するヨガによる改善効果です。

糖尿病研究ジャーナルの2016年のレビューでは、25の異なる試験から得られた知見を集められました。

その結果、ヨガは、血糖値や、脂質(コレステロールやトリグリセリドなど)レベルのコントロール、体重減少につながり、体組成の改善に役立つことが示唆されています。

がん・癌とストレスの関係

がんは一種類だけではなく、さまざまな種類があります。共通した症状は、異常な細胞がコントロールできず広がるというものです。

現在は、ストレスそのものが、がんの原因になるというはっきりした証拠はありません。

長期的なストレスが、腫瘍のわずかな環境を変化させ免疫防御を変化させてしまうかどうかを見極めるには、より精密な検査が必要です。

体内では、さまざまな原因で細胞の「がん化」が頻繁に起こっており、通常は免疫系が異常な細胞を破壊しますが、免疫系が無力になると、がん細胞は増殖してしまいます。

慢性的なストレスは免疫を妨げる可能性があり、がん細胞の増殖を阻止する機能を弱めてしまうのではないかと言われています。

ストレス管理はがんに対して有効なのか?

この問いへの答えは「YESと言い切るには時期尚早」です。

ストレス管理が、がんによる精神的、身体的な苦痛を緩和するのに役立ちます。米国国立補完代替医療センターによると、マインドフルネス/瞑想を実践することで、がん患者の不安やストレス、疲労、睡眠障害などを和らげることができるとのことです。

喘息とストレスの関係

ストレスは明らかに多くの喘息に関与しています。

通常、息を吸い込むと、空気は細気管支(肺の中の小さな気道)を通って肺胞と呼ばれる空気嚢(くうきのう)に入り空気中の酸素が血流に送られます。

一方、肺に戻ってきた血液は二酸化炭素を含んでいて、息を吐くときに二酸化炭素は肺胞に集まり、細気管支を通して排出されます。

細気管支を収縮させる自律神経系は、ストレスに敏感です。恐怖心、怒りの感情、反抗心などによっても、気管支収縮が引き起こされ、体内の空気の出し入れをより困難にします。

その結果、喘息持ちの人は、発作(息切れや喘鳴の発作)を起こしてしまうことがあります。もちろん、寒い気候や何らかの運動などの身体的ストレス要因も、同じように発作を起こさせる場合があります。

ストレスがどれほど喘息に悪影響を及ぼしているかは依然として議論されているところです。幼少期に家族から受けたひどいストレスは、重大なリスク要因の一つではないかと言われています。

他には遺伝的素因、ある種のアレルゲンにさらされること、ウイルス感染、および血液中の特定のアレルギーマーカーのレベルの上昇も重要な要因と考えられています。

ストレス管理は喘息に有効なのか?

この問いへの答えは「おそらく有効」です。

2016年、”Cochrane Database of Systematic Reviews”と呼ばれるデータベースに掲載された記事によると、ランダムに抽出された喘息患者へのヨガの及ぼす効力の試験15件の結果がまとめられています。

著者はヨガが生活の質をわずかに改善するということを発見しました。しかしヨガの肺機能と投薬への効果ははっきりしないままです。

ストレスは万病の元であるから、注意すべし

ここまでいろいろな病気とストレスの関係を、論文や研究をご紹介していきました。

多くの病気はストレスと何らかの関係がありそうという結果になっています。

ストレスは万病の元などとも言われていますが、まさしくその通りだと言ってもいいでしょう。

ストレスを溜めずにのびのびと日常が送れるとよいですね。

また、ストレス軽減にはマインドフルネス・瞑想なども効果的です。僕自身も生活の中に取り入れています。

ストレスマネジメント大全-ストレスを解消し、減らす8つのポイント/方法-

あとは以前書いたストレスマネジメントも参考にしてみてください。

ストレスない生活をのびのび送っていきましょー。生きてるだけで丸儲けです。



寺谷