【行動分析学第2回】部下が積極的に行動するようになる!?好ましい行動を増やす<好子>の活用/強化/消失

こんばんは、寺谷です。

前回、人の行動を変えるには、行動の直後が重要だ、というお話をしました。
繰り返し現れる行動の直後に注目して、将来的な行動を好ましい方に変えていこう、という考え方が行動分析学の基本的な考え方です。
そして行動分析学の重要なポイントの1つが好子というものです。

みなさま。こんばんは。寺谷です。みなさんは他人を操りたいと思ったことはありますか?男子諸君はあるでしょう。女の子を操りあんなこと・・・いいな♪できたらいいな♫あんな夢、こんな夢♬はい!ぼく、ドラ○もん!!さて、冗談はさておき、他人を操るとはいかないまでも、思い通りに動いて欲しかったりすることはありませんか? 部下にミーティングで発言をして欲しい クライアントからの返答がいつも遅く、スピーディな返答をして欲しい 常日頃から人を詰める上司に、部下を褒めてチームを活気づけて欲しい 気になるあの子が自分...
例えば社内会議をしている時、みんなが黙ってしまい、話が進まない、なんてこと、ありませんか?
自分の部下達がもっと発言してくれれば、会議が捗るのに、なんて思いますよね。

やる気の無い部下

こんな時は、「おい、みんな、発言をしろ」なんて言っても無駄。
じゃあどうしたらいいの、たすけてどら○もーん!

「はい、やる気ドリンク〜」

・・・ど、都合よく道具は出てきません(笑)

それよりも、あなたが好子を活用すれば、自然に部下たちが発言して画期ある会議になります!

望ましい行動を自然に増やしちゃう好子活用術、今から教えちゃいます!

ポイントその1:行動の直後が大事!時間が経ってから言っても効果がない?!

後が大事

いや、前回も聞いたよ、というあなた。大事だから何度でも言っているのです。
自分の行動とその行動の直後に起こる状況の変化との関連性を、行動随伴性と言います。

冒頭の会議の例で、部下が発言した時、チームリーダーの表情はしかめっ面から一転、笑顔になったら嬉しいですよね。
「考えを聞かせてくれてありがとう」とお礼を言われたら、もっと嬉しいですよね。

このように、行動(=社員の発言)の後に、状況の変化(=上司の笑顔や褒め言葉)があるという一連の流れが行動随伴性です。

行動分析の基本的な枠組みのポイントは2つです。

1つ目は、行動に伴う状況の変化(=上司の態度)が、次の行動(=発言)の原因となるという考え方です。

2つ目は、状況の変化は行動の直後である、という点です。

例えば、朝一の会議で発言した後、退社時に「今朝の発言よかったよ」と言われても、ピンと来ませんよね。
それよりも、発言した直後に褒められた方が、発言したことと好子が結びつきやすく、ずっと効果的です。

だからこそ、状況の変化(好子の出現)は、行動の直後の方が望ましいのです。

ポイントその2:好子を使ってしてほしい行動を強化しよう!

好子=出現して嬉しいもの

先ほどの会議の続きです。
自分の発言に上司が笑顔を見せたり褒めたりしてくれたら、発言した社員はどう思うでしょう。
多くの人が彼の立場なら、もっと発言しちゃおうかな、なんて思いますよね。

このように、行動の随伴性を利用して目的の行動の頻度や強度を上げることを、強化、と言います。
そして、行動の直後に出現して(=行動の随伴性があって)、目的の行動を強化する刺激や出来事を、好きな子、と書いて「好子」と言います。
よしこ、じゃないですよ。「こうし」です。

重いものを運んであげた時、可愛い女の子が「かっこいい」なんて言ってくれたら、何度でも重いものを運んであげたくなっちゃいますよね。

好子による強化のスゴイところは、無意識の行動も強化できることです。

好子で行動を強化して、学生の行動を操ったGreenspoon教授の実験

Greenspoon(米;1920-2004)という研究者は、半世紀以上も前に、以下のような実験で好子が行動を強化することを示しています。
この実験では、75名の学生に、思いついた単語を順番に言ってもらいます。
実験者は、学生たちが複数名詞を言った時だけ、さりげなく頷きや肯定的な反応をします。

ただこれだけの実験ですが、結果は、学生たちが複数名詞を言う回数が有意に増える、というものでした。
しかも学生たちは、自分たちが複数名詞を多く挙げていたことに気づいていなかったのです。

褒められて嬉しいから、もっと発言する、という意識的な行動だけでなく、無意識の行動まで強化してしまうのですね〜。

Q.好子が消えたらどうなる?

好子消失の落ち込み

先ほどの逆の場合を考えてみましょう。
せっかく思い切って発言をしたのに、その瞬間、上司の顔から笑顔が消えたらどうでしょうか。
きっとその社員や、周りにいる他の社員は、発言を控えるようになるでしょう。

このように、好子(=上司の笑顔)を消失させると、その直前の行動(=社員の発言)の頻度や強度が下がります。これを弱化、と言います。

例えば、悪気なく言った一言で、それまで談笑していた同僚からいきなり笑顔が消えたら、もうその話題は触れないようにしようって思いますよね。

この場合、自分の発言(行動)によって、同僚の笑顔(好子)が消失したので、類似の発言が減る、つまり行動を弱化させています。

 

いかがでしたでしょうか。今回は、好子を用いた行動の強化と弱化について話しました。

行動の直後の好子を操作することで、相手の行動を増やしたり減らしたりできます。

褒めるという好子の提示で、旦那さんが家事を手伝ってくれるようになったり、子供たちが勉強するようになったりするかもしれない。

笑顔で頷けば社員たちは積極的に自分の意見を言うようになるし、スピード感を褒めれば、社員たちは無駄な残業をしなくなるかもしれない。

好子を活用することで、無理なく周りの人との関わり方を快適にしていくことができるんです。

好子ってスゴイですね。
次回は、好子の反対、嫌子についてお話しします。

See you again!

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