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燃え尽き症候群から回復・対策するための5つのポイント
恒常的なストレスに対して無力感を覚え、めまいがして、疲弊しきっていると感じることがあれば、あなたは燃え尽き症候群の途上にあるかもしれません。
燃え尽き症候群にかかってしまうと、問題が乗り越えられないものであるように感じて、全てが荒れ果てて見え、力を振り絞ることができなくなります。
そうなってしまう前に、あなた自身を救うためにできることをしましょう。
燃え尽き症候群が引き起こす不幸や孤立は、仕事、人間関係、そして健康を脅かす可能性があります。
早めに警告サインを見つけることによって、燃え尽き症候群を防ぐための対策をとることができます。
仮に、あなたがすでに燃え尽き症候群を発症している場合でも、バランス感覚やポジティブな希望を再び持てるようになるための対策を5つご紹介します。
燃え尽き症候群とは何か?
燃え尽き症候群は、過剰かつ、長期におよぶストレスによって感情的、身体的、精神的に疲弊した状態です。
圧倒され、感情的に減退し、要求に応えられないときに起こります。ストレスが継続すると、自分が本来果たすべき役目を遂行するための関心とモチベーションを失い始めます。
燃え尽き症候群を発症すると、生産性を減退させ、活力を奪い、無力感や絶望感、冷笑的で憤慨する感覚が増加します。最終的に何も行動できないような感覚になることもあります。
燃え尽き症候群のネガティブな影響は、自宅や仕事や社会生活など、生活の全ての領域に及び、風邪やインフルエンザなどの病気にかかりやすくなるなど長期間に及ぶ体の変化の原因となることもあります。
このように多くの悪い結果をもたらしてしまうので、燃え尽き症候群にはすぐに対処することが大切です。
あなたは、いま燃え尽き症候群に向かっているか?
もし、以下のように感じることがあれば、あなたは燃え尽き症候群になりかけているかもしれません。
- 毎日、今日は悪い日だ。と感じる
- 仕事や家庭生活に気を配ることがエネルギーの完全な浪費のように感じる
- いつも疲弊している
- 一日の大部分を極端につまらない、または圧倒的な量の仕事に費やしている
- 何にも違いを生み出せないし、感謝もされない
燃え尽き症候群のサインと症状
大部分の人は、無力感を覚え、負荷が高すぎると感じ、または報われないという思いを経験することがあります。
このような状況にある間は、朝、ベッドから自分を引きずり出すだけでも、相当な決断力を必要とします。
時々ではなく、常にこのような気分であれば、あなたは燃え尽き症候群かもしれません。
燃え尽き症候群は段階的なプロセスを踏みます。突然一晩のうちに発症するものではなく、徐々に忍び寄ってきます。
それを予兆するサインおよび症状は、最初は穏やかですが、時間が経つにつれ悪化していきます。
初期症状を、対処が必要となる異常の警告サインと認識しましょう。
予兆サインに注意を払って、ストレスを減らす行動を取れば、大きな故障は防げます。
もし予兆となるサインを無視すれば、最終的には燃え尽き症候群に至ってしまう可能性があります。
燃え尽き症候群の予兆となる身体的サインと症状
- いつも疲労や体力が奪われていると感じている
- 免疫が低下し、病気がちである
- 頻繁な頭痛または筋肉痛
- 食欲や睡眠習慣の変化
燃え尽き症候群の予兆となる感情的サインと症状
- 失敗や、自分を疑う感覚
- 無力感、閉塞感、敗北感
- 孤立、世界で一人であると感じる
- モチベーションを失う
- すねた、ネガティブな見方が増す
- 満足感、達成感が減少する
燃え尽き症候群の予兆となる行動的サインと症状
- 責任から逃れようとする
- 周囲の人から孤立する
- 先延ばしにする、物事を終わらせるのに時間を要する
- 過食や、薬物や酒に逃げる
- 他人への八つ当たり
- 仕事をさぼる、あるいは遅く出社して早く退社する
ストレスと燃え尽き症候群の違い
燃え尽き症候群は厳しいストレスの結果と言えますが、ストレス過多とは別のものです。
ストレスは「過剰」なことに関連付いて起こるとも言えます。
全般的に身体的にも精神的にも過剰な要求をされることへのプレッシャーがストレスです。
高ストレスの状況は辛いものですが、ストレス状態であればまだ物事をコントロールでき、快方に向かえると思えます。
一方、燃え尽き症候群では「不足」していることに関連付いて起こるとも言えます。
燃え尽きている状態は、空虚で精神的な疲弊、モチベーションの欠如、とてもケアできない状態を感じている状況とも言えます。
燃え尽き症候群を経験している人は、状況を好転させられるいかなる希望も見いだせないことがあります。
過大なストレスは過剰な責任に溺れているようなもので、一方、燃え尽き症候群は枯渇しているというイメージです。
そして、いつも大量のストレスにさらされているという自覚がある状況では、燃え尽き症候群がはじまっていることに気付けません。
ストレスと燃え尽き症候群の比較 | |
ストレス | 燃え尽き症候群 |
没頭という特徴 | 離脱という特徴 |
感情が過敏である | 感情が鈍い |
緊急性と機能亢進を生む | 無力感と絶望感を生む |
エネルギーを失う | モチベーション、理想、希望を失う |
不安障害へとつながる | 孤立と、うつ病へとつながる |
身体へのダメージが主要 | 精神的なダメージが主要 |
早期に悪影響がでる | 人生に生きる意味がないと思うかもしれない |
燃え尽き症候群の原因
燃え尽き症候群は仕事が原因で発生することがあります。
何年も休暇を取らなかった勤勉なサラリーマンから、子供、家事、年配の世話に苦労している主婦に至るまで、あるいは過労の状態で過小評価されていると感じている人も燃え尽き症候群になる危険性があります。
しかし、燃え尽き症候群は単にストレスフルな仕事や責任が多すぎることのみが原因とは言えません。
生活スタイルや性格傾向など他の要因も、燃え尽き症候群に影響します。
例えば、休日の過ごし方や、世の中の見方などは、家庭や職場で圧倒的なストレスをかかえるかどうかに大きな影響を与えます。
仕事に関係する、燃え尽き症候群の原因
- 仕事をほとんどコントロールできない
- 仕事の成果に対する見返りがない
- 仕事に要求されていることが不明確か、過剰である
- 単調かつ挑戦的でもない仕事をしている
- 混沌としたまたはプレッシャーがきつい環境で仕事をしている
生活スタイルに起因する、燃え尽き症候群の原因
- 社会活動やリラックスの時間を充分とれない状況で働きすぎている
- 親密なサポートを受けられるような人間関係が欠如している
- 周囲の人から助けがない状況で責任だけが大きい
- 睡眠不足
性格的傾向に起因する、燃え尽き症候群の原因
- 完璧主義;どれだけやっても、充分であるという満足感が得られない
- 自身と世界を悲観視する
- 常に自分がコントロールしていたい。他人に委任することを嫌う
- 高い達成性、A型人間(よく遊び、よく働き、競争的でエネルギッシュなタイプの人間)
ポイント1:燃え尽き症候群に対処するために、周囲の人の助けをもらう
燃え尽き症候群に至ってしまう途上にある人は、無力感を覚えているかもしれません。
しかし、ストレスは自分が考えているよりもコントロールできるものです。
圧倒的なストレスに対処し、人生のバランスを取り戻すために取ることができる積極的な措置があります。
もっとも効果的な方法の一つは他の人の助けを借りることです。
社会的コンタクトは自然なストレスへの対処法で、面と向かってよい聞き手と話すことは、神経系を落ち着けてストレスを和らげる最も早い方法の一つです。
話をする相手は必ずしも解決方法を示してくれる人物でなくても良く、善悪の判断をせず、集中して自分の話をよく話を聞いてくれる人物であることが望ましいです。
配偶者や家族、友人などの身近な人に助けを求める
心を開くことは周囲の人の負担にはなりません。
実は、多くの人は頼りにされることに悪い気はしません。
また、頼りにすることで関係性を強くすることができます。
自分を苛んでいる物事を一旦脇に置き、愛する人と過ごす時間を楽しいものにしてください。
同僚ともっと社会的につながる
同僚と友情を育むことで、燃え尽き症候群の悪影響に対して余裕を持つことができます。
休み時間は例えばスマートフォンに気を取られず、同僚に関わるようにしましょう。
または終業後の社交的なイベントを企画・参加することもよいでしょう。
ネガティブな人との接触を制限する
文句を言うだけのネガティブな精神の人と関わることは自分の気分と将来の見通しを悪くするだけです。
ネガティブな人と仕事しなければならないときは、一緒に過ごす時間を制限しましょう。
自分にとって意義あるグループとかかわりを持つ
宗教的、社会的サポートグループは好感が持てる人と日常的なストレスへの対処法を相談できる場所や、友達を作れる場所を提供してくれます。
あなたの仕事場に専門職協会があれば、会議に出席し、同じ職場の他の人と交流し、職責に対応することもできます。
新しい友情を育む
仕事や休暇において心を開ける相手がいなくても、遅すぎることはありません。新たな友人関係を作りましょう。
ポイント2:仕事のとらえ方を見直す
忙しい仕事でも、単調で満たされない仕事でも、燃え尽き症候群と戦うのに最も効果的な方法は、今の仕事を辞めてしまい、他の好きな仕事を探すことです。
もちろん、転職という選択肢は、ほとんどの人にとって支払わなければならない代償も多いので、実践的な解決法とは言いにくいものです。
しかし、どのような状況であっても、精神状態を改善できることは何かしらあります。
自分のやっていることに価値を見出す
平凡な仕事においても、たとえば、どのように必要とされている製品やサービスを提供したり、どのように同僚をサポートできるかに焦点を合わせたりすることもできます。
楽しめる仕事の局面に焦点を合わせ、同僚と昼休みにおしゃべりするくらいのことでも、仕事に対する姿勢を変えることで目的やコントロールの感覚を取り戻すのに効果があります。
生活のバランスを見つける
仕事を持っているならば、意味と満足感を家族、友人、趣味やボランティア活動など生活の中に見出しましょう。生活の中で喜びをもたらしてくれる部分に焦点を合わせましょう。
仕事上での友人を作る
職場で人と強いつながりを持つことは作業の退屈さを軽減でき、燃え尽き症候群への対抗手段にもなります。
おしゃべりや冗談を言い合うことができる友人がいれば、不安定で要求の厳しい仕事からのストレスを減らすこともでき、仕事の成果を上げて大変な日々を乗り切ることができます。
休暇を取る
もし、燃え尽きることが避けられないようならば、完全に仕事から離れるための休暇を取りましょう。
勤務先に休職の制度があるか確認し、長期休暇や病欠を使いましょう。
どんな方法でも良いので、とにかく現状から離れるようにしましょう。離脱している期間を使って、自分のバッテリーを充電し、他の復活手段を探りましょう。
ポイント3:優先順位を再評価する
燃え尽き症候群は、まぎれもなく、人生で何かがうまくいっていないことを示すサインです。
自分の希望、ゴール、夢について、考える時間を持ちましょう。
自分にとって大切なことを放っておきますか?この時間は、本当に自分幸せにしてくれるものを再発見して一休みする時間を得る機会になります。
境界を設ける
大風呂敷を広げず、自分の時間を確保するために「ノー」と言うことを覚えましょう。
これを難しいと思うならば、「ノー」が言えるということは、本当にやりたいことに「イエス」と言えることだということを忘れないようにしましょう。
テクノロジーから離れる休憩をとりましょう
毎日デバイスから完全に離れる時間をつくりましょう。
その時間には、ノートパソコンを片づけて携帯電話の電源を切りEメールのチェックをやめましょう。
自分の創造性を養う
創造性は燃え尽き症候群を防ぐのにとても効果的です。新しいことに挑戦しましょう。
楽しい計画や、中断していた趣味を再開してみましょう。
仕事に関係せず、ストレスの原因ともならない活動を選びましょう。
リラックスするための時間を取る
ヨガや瞑想、深呼吸のようなリラクゼーション技術は身体のリラクゼーション反応や、ストレス反応とは逆の休息状態を呼び起こします。
充分な睡眠をとる
疲れた状態は、非合理的な考えを起こす原因となり燃え尽き症候群を悪化させます。夜間によく眠ることでストレスフルな状況に冷静に対処します。
ポイント4:運動することを優先する
燃え尽き症候群になったとき、運動する気など到底起こらないかもしれませんが、運動することはストレスや燃え尽き症候群への強力な解毒剤となります。
すぐに実行できて、気分を向上させられるものでもあります。
1日あたり30分以上の運動を心がけましょう。10分単位に分割しても良いです。10分間のウォーキングをすれば2時間は気分良く居られます。
リズムを伴った手足を動かす運動は気分を良くして、エネルギーをみなぎらせ、集中力を増し、心身をリラックスさせるのにとても効果的です。
ウォーキング、ランニング、ウェイトトレーニング、水泳、武術、ダンスなどに挑戦してみましょう。
ストレスを最大限に和らげるためには、自分の思考ではなく体がどのように感じるかに意識を集中させます。
地面を踏みしめる足の感覚、呼吸のリズム、肌に当たる風の感覚を意識しましょう。
以前の記事では運動がメンタルにいい影響を与えるにはどの程度すればよいのかもご紹介しましたね。
ポイント5:健康的なものを食べることで、気分と体力をサポートする
自分の体内に取り込むものは、気力や体力に大きな影響を与えます。
砂糖と精製炭水化物を最小限にする
パスタや白パン、フライドポテトのような甘い菓子やおいしいものが食べたくなるかもしれません。
しかし、これらの炭水化物を多く含む食べ物は気持ちや活動のためのエネルギーを劣化させる原因となります。
気持ちに悪影響を及ぼす可能性のある食べ物を減らす
カフェインやトランス脂肪酸、科学防腐剤やホルモンを多く含む食べ物は避けましょう。
精神状態を良くするには、オメガ3脂肪酸を摂取しましょう。
オメガ3脂肪酸を多く含む食材は、脂の乗った魚(鮭、ニシン、サバ、アンチョビ、イワシ)、海草、亜麻仁、クルミなどがあります。
ニコチンを避ける
ストレスを感じている時に喫煙すると気分が落ち着くように感じるかもしれませんが、ニコチンは強力な刺激剤であり、ストレスや不安を弱めるのではなく、強めてしまいます。
飲酒には節度を持つ
アルコールは一時的に不安を和らげるかもしれませんが、過度に飲酒をしてしまうと良いが覚めるにつれ不安が強大になります。
以上が燃え尽き症候群から回復・対処するための5つのポイントでした。
しっかりと対処すれば、燃え尽き症候群から通常の状態へ戻ることは可能です。
無理せずにできそうなことから始めてみてください。