目次
不安を解消するための5つの方法・心理学テクニック
心配ごとを全く持っていない人はいません。
物事を心配するおかげで具体的な行動ができて、問題の解決に至ることもあります。
「もしこうなったら、どうしよう」と根拠のない心配ごとや、最悪のシナリオに心を捕らわれて過ぎていたら、それは問題です。
絶え間ない心配ごとや恐れは一種の麻痺とも言えます。
あなたから心のエネルギーを奪い、心配ごとのレベルをより高めて、毎日の生活を妨害します。
しかし慢性の心配性は治すことができます。
落ち着いてバランスの取れた心配ごとの少ない状態に、あなたの脳を仕向けるようにトレーニングできます。
心配をし過ぎる原因や心配することをやめられない理由
心配、疑い、不安は、誰もが抱く感情です。未払いの請求書や、予定されている就職の面接や、最初のデートを不安に思うことは当たり前です。
しかし、ごく普通の心配ごとでも、長く続いたり自分でどうにもできなかったりする場合には、心配し過ぎの状態になります。
毎日さまざまな心配ごとが頭の中から追い払えなくなり、日常生活にも支障が出てくるでしょう。
心配し続けたり、ネガティブな考えを持ったり、いつも最悪のケースを想像したりすることで、徐々に心のLIFEはすり減っていきます。
頭痛、胃の不快感、筋肉の緊張を引き起こし、仕事や学校の授業になかなか集中できなくなってしまいます。
身近な人に当たり散らし、中にはアルコールやドラッグで自己治療をする人もいるかもしれません。
慢性的に心配ごとをしている場合は、全般性不安障害(GAD)の一般的な症状かもしれません。この不安障害は緊張や神経過敏、常に落ち着かない感じをもたらします。
なぜ、そんなに恐れるのか
もし、慢性的な不安や心配に悩まされているならば、世の中を実際よりもネガティブに捉えている可能性があります。
例えば、物事がすぐ悪い方向にいってしまったり、すぐに最悪のケースのシナリオになってしまったり、不安なことは全て事実であるなどと、過剰に思い込み過ぎているのかもしれません。
そのように思い込む人は、自分の問題解決能力を信用できずトラブルの兆候が見えた時点で失敗すると仮定してしまいます。
このような非合理的で悲観的な考え方は「認知的ゆがみ」として知られています。
以下にご紹介するのは、認知的ゆがみの例です。
・オール・オア・ナッシング思考
物事を白黒はっきりつけようとします。中間があるという考えには至りません。「完璧でなければ、失敗である」と考えます。
・過大解釈
たった1回のネガティブな経験から、それが永遠に起こると思ってしまいます。「職にありつけなかった。永遠にどの仕事にも就けるはずがない」と考えます。
・ポジティブな物事には目もくれず、ネガティブな物事にだけ注目する
他の全てがうまくいっているのに、うまくいっていないこと1つだけに注目してしまいます。「テストで最終問題だけを間違った。私は馬鹿だ」と考えます。
・ポジティブな出来事を、素直に受け入れないための理由を考える
「プレゼンテーションは上手くいったが、単に運がよかっただけだ」と考えます。
・起こりうる最悪のシナリオを想定してしまう
「パイロットは乱気流に入ったと言っていた。この飛行機は落ちるだろう」と考えます。
・自分の気持ちが現実になると信じ込む
「私は自分のことを馬鹿だと思う。周りの人は私を笑っているに違いない」と考えます。
・「しなくてはならないリスト」と、「してはならないリスト」を作り厳密に守る
もしリストを守れなかった場合、自分を打ちのめす。「彼女に話しかけるべきではなかった。私は馬鹿だ」と考えます。
・間違いや認識された欠点に基づいて自分自身にレッテルを貼ってしまう
「私は失敗だ。私は退屈な奴だ。一人でいるのがお似合いだ」と考えます。
・コントロール外の物事について責任を考えてしまう
「息子が事故に会ったのは、私のせいだ。雨の中運転する時に気を付けるよう、彼に注意すべきだった」と考えます。
心配ごとをやめることは、なぜ難しいのか?
認知的ゆがみが現実に基づいていない場合、心配することを止めることは難しいです。
なぜならその心配の仕方は、自分が気づいてすらいない生活習慣上の思考パターンになってしまっていることがあるからです。
心配するという行動は、未来に起こるびっくりすることを解決したり、避けたりするために有効であると思うかもしれません。
さらに、心配するという行動が、責任感がある、または思いやりがあるのと同じようにさえ感じるかもしれません。
しかし、心配することによって何かポジティブな結果をもたらすという信念は持たないほうが良いです。
心配する行為自体が問題であり、決して何かを解決する方法ではないと認識することで、不安な気持ちを無くし、恐れる気持ちをコントロールできるようになります。
自分自身に心配することを止めさせることはできない
自分自身で、心配するのを止めようとしても長く続けられません。
瞬間的に気をそらすことはできますが不安な気持ちを消し去ることはできません。
実は、心配するのを止めようとすることで、不安な気持ちが更に強くなり頭から離れなくなってしまうことがあります。
これを試してみる方法があります。目を閉じピンクの象を思い浮かべます。
心の中でそのピンクの象が見えるようになったら、考えることをやめてください。
その後60秒ごとに、何をしていようが「ピンクの象を考えない」ようにしてみてください。
どうですか? ピンクの象はあなたの頭に浮かんできましたか?
「考えるのを止める」のは、まさに止めようとしている考えに、特段に注意を払うことになってしまうので逆効果です。
考えたくないことを常に追わなければならないので、頭の中では逆に重要なこととして強調されてしまいます。
ここからは不安から気をそらせようと頑張らずとも、脳を訓練して世界の見方を変える手順をご紹介します。
ヒント1:不安な考えについて一時停止ボタンを押す
もし、頭の中を延々と駆け巡るほどの心配ごとをお持ちならば、自分自身を制御できなくて気が狂いそうで、不安に押しつぶされそうに感じるでしょう。
しかし、この不安な気持ちに今すぐ一時停止ボタンを押せる方法があるのです。
立ち上がり、とにかく動く
運動は、自然で効果的な不安に逆らうための方法です。
運動することよって、ストレスを和らげ、活力を増しうまくいっているという感覚を高める、エンドルフィンが分泌されます。
さらに特筆すべき効果としては体を動かすことに集中できるので、今まで頭の中を駆け巡っていた心配ごとを考えずに済むことです。
歩いたり、走ったり、踊ったりするときに地面を足で踏みしめる感覚や、呼吸のリズム、肌に当たる風や日光の心地よさにも集中できます。
ヨガや太極拳を習う
ヨガや太極拳は、動きや呼吸に意識を集中できるので、気持ちをすっきりさせてリラックスした状態になれます。
瞑想
瞑想は、未来への心配や過去へのこだわりから、現在起こっていることに気持ちの焦点を切り替えることを行います。
どっぷりと今のこの瞬間に焦点を合わせることで、終わりのない不安や心配ごとを防ぐことができます。
座禅を組んだり、ろうそくやお香を炊いたり、お経を唱えたりする必要はありません。ただ心を鎮めて、静かで快適な場所を探ります。
無料、または安価な瞑想をガイドするためのスマートフォンアプリも数多くリリースされています。
漸進的筋弛緩法をやってみる
聞き慣れない言葉だと思いますが、終わらない不安や心配を止める助けになります。
筋肉を緊張させては緩めるということを繰り返します。身体がリラックスするにつれ、心もリラックスしてきます。
深呼吸してみる
心配ごとがあるとき、不安になって呼吸が早くなりますが、この早い呼吸のせいで一層不安が増すことがあります。
深呼吸をしてみることで落ち着きを取り戻し、ネガティブな考えを抑えることができます。
リラクゼーション技術で脳を変えられる
上記のリラクゼーション技術を実践することで、心配ごとや不安からの猶予が生まれます。
定期的に実践することで脳を変えることもできます。研究によると、瞑想を日常的に行うことで、脳内の平穏さと喜びをつかさどっている前頭前野の左部分を活性化できます。
さらに訓練することで、より不安が和らぐ感覚がつかめて、心配ごとも一層コントロールしやすくなります。
ヒント2:不安について話す
シンプルすぎる解決法に思えるかもしれませんが、決め付けや、批判や、絶えず気を散らすようなことがないような信頼できる友人や家族に面と向かって話すことは、いらだちを鎮めて不安を抑えるのに最も有効な手段の1つです。
心配ごとがまとわりつきはじめたら、そのことを彼らに話せば脅威をはるかに軽くすることができます。
心配ごとを自分の心に秘めておくことで、それは圧倒的になるまで膨れあがってしまいます。
しかし、声に出して言うことは、自分が感じていることを理解し見通しを良くするのにも役立ちます。
もしあなたの不安が実は非合理的ものであれば、言葉にしてみることで、特に怖がるような内容ではないとわかることもあります。
そして、もしあなたの不安が怖れるに値するものであれば、一人で抱え込まないように誰かと共有して解決策を生み出すこともできます。
ヒント3:マインドフルネス
心配ごとは大抵、未来に何が起こって自分がそれに対してどう行動するか、あるいは過去に自分自身が言ったりやったりした事に焦点が合っているものです。
何世紀にも渡って実践されてきたマインドフルネスは、現在に焦点を合わせることによって、心配ごとから解放されるのに役立ちます。
この戦略はあなたの心配ごとを客観的に観察することを基本として、心配ごとを開放し、思考の中でどこが問題を引き起こしているか特定することで、思っていることをはっきりさせるための助けになります。
心配ごとがあると認め、客観的に観察する
心配ごとを無視したり、無理に戦ったり、あるいはコントロールしようとしないでください。心配ごとに反応したり善悪を決めつけしたりせずに、単純に客観的に観察しましょう。
心配ごとをやり過ごす
脳裏をよぎる不安を、無理にコントロールしようとしないように気を付けてください。その不安はまるで空を流れる雲のようにすぐに通り過ぎます。
いま現在を注視する
自分の体の感覚、呼吸のリズム、移り変わる感情に注意を払ってください。特定の思考にとらわれてしまっていることに気付いたときは、いまこの瞬間に意識を戻してください。
マインドフルネスによって現在に意識を合わせることは簡単そうに見えますが、効果を得るためには練習が必要です。
最初のころは意識が心配ごとに戻っていってしまうかもしれませんが挫折しないでください。
自分の意識を現在に合わせようとするたびに、ネガティブな心配ごとの世界から逃れるための、心の習慣を強化していることになります。
ヒント4:心配ごとを先延ばしにする方法を覚える
不安や心配ごとが心に住み続け、仕事、学校、家庭生活を悪くしている状況の中で、毎日を生産的に過ごすのは大変なことです。
このようなとき、心配ごとを先延ばしにする戦略が力を発揮します。
不安を止めたり取り除いたりしようとせず、そのような感情を持ってしまっている自分を許しましょう。
そして、心配ごとを真剣に考えるのは後回しにしましょう。
Point①「心配するための時間」を作る
心配するための時間と場所を選んでください。
例えば、午後9時から20分間リビングでやるなど、毎日同じ時間と場所が良いです。就寝直前に心配ごとを思い起こすようなことは避けて、早めの時間帯にしましょう。
「心配するための時間」の最中は、どんなことでも心配して構いません。
それ以外の時間帯は「心配から解放される時間」ということになります。
Point②心配ごとを書き留める
不安な考えや心配ごとが一日中頭から離れないときは、簡単に記録を付けてから普段の生活に戻りましょう。
その心配ごとについては、後で考えるための時間が設けられているので、今、悩む必要はありません。
また、メモ帳やスマートフォンやパソコンにあなたの考えを書き留めることは、単に心配ごとについて考える行為よりも、はるかに面倒な行為なので、心配ごと自体がパワーを失って弱くなることにもなります。
Point3 「心配するための時間」の最中だけ、心配ごとのリストに目を通してよい
もし書き留めた不安にまだ悩まされていれば、まずは心配している自分を許します。
ただしあなたが決めた「心配するための時間」の最中だけ、心配することを自分に許可します。
心配ごとをこのような方法で確認することで、バランスの取れた視点が簡単に持てることに気付くかもしれません。
そして、あなたの心配ごとが、もはや大したことではなくなったら、シンプルに「心配するための時間」を短くして、それ以外の普段の生活を楽しめば良いのです。
Point④「心配するための時間」の最中だけに、心配ごとをする
心配ごとを後回しにすることは、何かしている最中に心配ごとにとらわれてしまうことを防ぐのに効果的です。
しかも必死に心配ごとを押さえつけたり判断をしたりする必要もありません。
シンプルに、ただ後回しにするのです。心配ごとを後回しにする能力を高めるにつれて、思ったより簡単に心配ごとをコントロールできることに気付くでしょう。
そして、あなたが決めた「心配するための時間」に、心配ごとについて下記のような観点で考えてみましょう。
- この考えが正しいという証拠は?実は正しくないのではないか?
- この状況に向き合う、もっとポジティブで現実的な方法はあるか?
- 今、自分が怖れていることが本当に起こる可能性はあるか?可能性が低いとすれば、より可能性の高い結果は何か?
- この心配ごとは役に立つか?心配ごとはどのように自分を助けてくれて、どのように自分を傷つけるか?
- この心配ごとを知った友人は何と言うだろうか?
ヒント5:心配ごとが解決できるかものなのか、できないものなのか見分ける
研究の結果、何かを心配をしているとき、逆に一時的に不安が和らぐということがわかりました。
問題が頭のなかを駆け巡っている状況は、あなたの気をそらし、何かを達成したかのような気持ちになります。
しかし、心配ごとを心配するのと、実際に問題解決するのはまったく別物です。
問題解決のためには、状況を評価し、それに対処するための具体的なステップを踏み出し、計画を実行する必要があります。
一方で、心配ごとをすることで、ごくまれに解決法に至ることもありますが、どれほどの時間を最悪のシナリオに思い悩むことに費やしたとしても、実際にそれが発生したときの対応を準備していることにはなりません。
あなたの心配ごとは解決できるものか?
解決できる生産的な心配ごとについては、すぐに行動を起こすことができます。
例えば、あなたが未払いの請求書を心配している場合、柔軟な支払いオプションについて債権者に連絡できます。
解決できない非生産的な心配ごとについては、行動しようがありません。
「いつか、がんにかかってしまったら?」 「子供が事故に遭ったらどうしよう?」などは考えてもどうにも対処のしようがないことです。
もし心配ごとが解決できるものであれば、ブレインストーミングをはじめる
考えつく可能な限りの解決方法のリストを作りましょう。
完璧な解決方法を見つけることには、こだわらないようにしましょう。
コントロールできないような状況や現実を変えようとするのではなく、できる範囲の事柄にしましょう。
リストに書いた選択肢を評価したあと、実際に実行するための計画を作ります。いったん問題解決のために行動を起こせば、心がかなり軽くなることでしょう。
もし心配ごとが解決できるものでなければ、世の無常を受け入れる
あなたが慢性的に絶え間なく心配ごとをしている人ならば、ほとんどの心配ごとについて、おそらくこの「受け入れる」という対応をしなければならないでしょう。
心配ごとは、将来の喜ばしくない驚きを防ぎ、結果をコントロールするために未来を予測する方法とも言えるかもしれません。
しかし、起こるかどうかわからない可能性を全て考えても、人生は予測できないものとなってしまいます。
最悪のシナリオに執着することは、現在の好ましいことを楽しめなくしてしまうだけです。
心配ごとを止めるためには、確実なことは何で、すぐに答えを出せるかということを重視して取り組んでください。
- はっきりしないというだけで、悪いことが起こると思いますか?そうなってしまう公算は?
- 公算が低いというのに、その低い可能性と一緒に過ごしますか?
- 友人や家族に、公算が低いことに対してどうしているか対処を聞いてください。彼らはあなたと同じようにしますか?
- 気持ちを調節してください。確率の低いことを心配することによって、ときには不愉快な思いを予防することができるかもしれません。しかし気持ちを調節することで自分の不快な思いや道理にかなわない気持ちでさえも受け入れることができるようになるでしょう。