こんにちは。寺谷です。
今回は分離不安について説明していこうと思います。
幼い子供に「さようなら」と言うと不安になるのは当たり前のことです。
子供の成長過程の中で分離に対する不安は自然なものです。
それを理解した上で対処することで分離への不安は和らげることができ、子供が成長するにつれて不安はなくなっていきます。
しかし、不安が激しいものであったり、学校の活動に支障がでてしまったりするような場合、その子は分離不安障害を抱えているかもしれません。
この病気には専門的な治療が必要となることもありますが、子供の恐怖を和らげ安心させるために、親ができることはたくさんあります。
目次
分離不安とは何か?
幼い頃には、泣いたり、癇癪(かんしゃく)をおこしたり、親にくっついて離れなくなったりするのは、正常な発達過程での、分離に対する普通の反応です。
分離不安は、子供の最初の誕生日より前に始まることもあり、子供が4歳を迎えるまで、再発したり治まったりを繰り返します。
しかしながら、分離不安の強さと時期は、子供ごとに全く異なります。
子供がある程度大きくなっても、両親と離れることに不安を感じるのは普通のことです。
辛抱強くゆるぎない気持ちで、優しく、しかしながらしっかりと制限を設けることによって、子供の分離不安を和らげることができます。
しかし、親が最善の努力をしても分離不安が治まらず、小学校在学中あるいは卒業後も強い分離不安が続いたり、中には再発してしまったりする子もいます。
もし分離不安が、学業や友人関係に悪影響を与え、数ヶ月続くようなことがあれば、分離不安障害という大きな問題のサインかもしれません。
「普通の分離不安」を和らげる方法
「普通の分離不安」を持つ子供のために、分離不安を和らげるためのステップがあります。
分離の練習をする
最初は短時間だけ、シッターに子供を見てもらいます。
親であるあなたも出かけるのは近くまでにします。
親と離れていることに子供が慣れていくにつれ、長時間、遠くまで出かけることができるようになります。
昼寝や食事後に意図的に分離するようにスケジュールする
赤ちゃんは、疲れていたり空腹になったりすると、分離することに対し敏感になり、怖がります。
簡単な「さようなら」の儀式を作り出す
儀式は、たとえば窓越しに手を振ったり、お休みのキスをしたりするような、子供が安心できて、しかもできるだけシンプルなものが良いです。
ファンファーレ(いまから分離するということを、ことさら伝えること)なしで放置する
子供に、自分がここから立ち去って、その後戻ってくるということを教えます。それからすぐに立ち去ります。それ以上のことはしないでください。
約束を守る
子供が親と離れていても我慢できるという自信をつけるために、約束した時刻に戻ってください。
可能であれば慣れ親しんだ環境をキープし、新しい環境にも慣れさせる
シッターには家に来てもらうようにします。もし子供が家から離れるときは、慣れ親しんだものを持っていくように勧めてください。
一貫した第一シッターを持つ
シッターを雇う場合、いつもと違うシッターに見てもらうことで子供の普段の生活に変化が出てしまわないように、決まったシッターと長期的な契約を結ぶようにします。
怖いテレビ番組を最小限に抑える
親が見ているテレビ番組が恐ろしいものでなければ、子供の恐怖心も少なくなるでしょう。
設定した制限を守る
ゆるぎない制限を設けることで、子供が分離にうまく対応できるようになり、安心できるようになります。
分離不安障害とは何?
分離不安障害は、正常な発達過程ではなく、子供が親などの主介護者から離れているときに極度の苦痛を感じてしまう精神的な問題です。
しかし、「普通の分離不安」と分離不安障害には似たような症状が多いので、子供の症状を見極めようとするときに混乱することがあります。
「普通の分離不安」と分離不安障害の違いは、子供の恐怖の度合いと、恐怖によって普通の生活が送れないことがあるかどうかです。
分離不安障害の子供は両親から離れることを想像しただけで不安になったり、学校に通うことを避けるために仮病を使ったりするかもしれません。
症状が極端であり深刻な場合、分離不安障害と言えそうです。
しかし、子供が親から離れることにどんなに不安を感じても、分離不安障害は治療可能です。
子供に安全を感じさせて、分離の不安を和らげるためにできることはたくさんあります。
分離不安障害の症状
分離不安障害の子供は、分離することを常に不安に思って恐れています。以下のような症状が多いです。
愛する人に恐ろしいことが起こることを怖れる
分離不安障害の子供が持つ最も一般的な恐怖は、離れている間に、愛する人がひどい目にあうのではないかという心配です。
例えば、子供は親が病気になったり怪我をしたりするのを常に心配するかもしれません。
思いがけないアクシデントによって分離が長く続いてしまうことを怖れる
一度、親から離れたら、アクシデントが起こり分離された状態が続いてしまうことを怖がるということもあります。
例えば、彼らは誘拐されたり、迷子になったりすることを心配するかもしれません。
学校に行くことを拒否する
分離不安障害を持つ子供は学校に行くことに恐怖を感じている場合があり、家に留まろうとしてあらゆることをすることもあります。
睡眠に支障が出る
分離不安障害を持つ子供は、一人で取り残されることの恐怖や、親と離れ離れになるというストーリーの悪夢を見るために、不眠症になってしまうこともあります。
頭痛や腹痛などの身体的な症状
分離不安障害を持つ子供は、親と離れたとき、または離れる前に身体的な症状を訴えることがあります。
介護者に執着する
分離不安障害を持つ子供は家の中で親に付きまとい、親が外に出ようとすると腕や脚にまとわりつくことがあります。
分離不安障害の一般的な原因
分離不安障害は、子供が安全ではないと感じていることが原因です。
子供にとっての世界のバランスを崩してしまったり、脅かされていると感じさせたり、いつもの行動を妨げてしまうようなことがなかったか振り返ってみてください。
根本的な原因を突き止めることができれば、もがき苦しむ子供を助けることに一歩近づくでしょう。
子供の分離不安障害の一般的な原因には、以下のようなものがあります。
環境の変化
新しい家や学校、保育などの環境の変化は、分離不安障害を引き起こすことがあります。
ストレス
転校、離婚、失恋、ペットロスといったストレスの多い状況は、分離不安を引き起こすことがあります。
過保護な親
場合によっては、子供の分離不安障害は、親が持つストレスや不安が反映されたものであることがあります。
親と子供は互いに不安を与え合ってしまうことがあります。
不安定な愛情
親からの安定している愛情は、子供に安心感を与え、落ち着いて育つことに寄与しますが、不安定な愛情は分離不安などの問題を起こすことがあります。
分離不安障害を持つ子供を救う
自分の子供が苦しんでいるところは誰もが見たくないので、子供が怖れている分離不安を避けるために、常に側にいるという選択をしてしまいがちです。
しかし、これは長期的に見ると子供の不安を強めてしまうだけです。
分離を避けようとせず、子供が分離不安障害と安全に戦うことができるような措置を取ることで、より効果的に助けることができます。
自宅を適切な環境にすることで子供は更に安心できます。問題が完全には解決できないとしても、快方には向かうことでしょう。
分離不安障害について勉強する
子供がこの障害をどのように経験しているのか勉強することで、子供の苦しさを更に理解することができます。
子供の気持ちを聞き、尊重する
分離不安障害によって孤独を感じている子供にとって、どのように苦しいか聞かれることで強力な治癒効果を持ちます。
問題について話し合う
子供が自分の気持ちを話すことは健康的なことです。
寄り添う気持ちを持ちながら、以前、親と離れたことがあったのに死ぬようなことはなかったこと、今現在も生きていることを穏やかに理解させましょう。
分離の難しさを予想する
学校へ行ったり、友人と遊んだりするなど、子供に不安を引き起こす可能性のあるタイミングに備えてください。
子供が父または母の、どちらか片方の親だけに分離不安を感じている場合、その親が分離不安の克服に取り組んでください。
子供と離れている最中は落ち着く
離れていても親が冷静だとわかれば、子供は穏やかでいられます。
子どもの活動への参加をサポートする
健康的で社会的あるいは身体的な活動に参加することを子供に勧めましょう。子供の不安を和らげ、友情を育むのを助ける良い方法です。
子供の努力を褒める
騒がずに就寝する、学校から良い報告があったなどの些細な達成を褒めましょう。
子供が安心できるようにするためのヒント
固定された一日のスケジュールを守る
固定された一日のスケジュールは、子供に安心感を与え、未知のものに対する恐怖を解消するのに有効です。
食事時間、寝る時間などはいつも決まった時刻にしましょう。
家族のスケジュールに変更がある場合は、前もって子供と話し合いましょう。
子供があらかじめ知っていればスケジュールは変えやすいです。
制限を設ける
子供には、気持ちは理解しているけれども、家庭には守らなければならない規則があることを伝えましょう。
固定された一日のスケジュールと同様にルーチンと同様に、制限を設定して守ることで、子供がどのような状況でも希望が持てることを知るのに役立ちます。
選択肢を与える
子供が親との意思疎通において、選択肢やコントロールできる事柄を与えられていると、より安心できるでしょう。
たとえば、学校への送迎をする自動車の乗り降りする場所や、どのおもちゃをデイケアに持っていく持っていくかなどの選択肢を与えることができます。
分離不安障害を和らげる:学校のためのヒント
分離不安障害の子供にとって、学校に通うことは大変なことで、行くのを拒絶するというのが普通です。
しかし子供が学校を避けようとする根本的な原因に対処し、学校で変化を加えることによって、子供の症状を軽減することができます。
不登校の子供が、できるだけ早く学校に復帰できるようにする
最初は短期間だけしか出席しないという措置が必要であっても、親から離れていても問題ないことが認識できてくるにつれて、子供の症状は軽くなる可能性が高くなります。
子供の遅刻を許してもらえるように学校に頼む
最初は遅刻する可能性があるということを、学校に大目に見てもらうことができれば、子供と落ち着いたペースで話し合う余裕もできます。
安全な場所を特定する。
子供がストレスを感じるときに、不安を減らすために行くことができる校内の場所を見つけます。安全な場所を適切に使用するためのガイドラインを作成します。
子供が家と連絡することを許可する
学校でストレスを感じている時に、1~2分、短時間の電話をすることで、家族との分離不安を軽減できることがあります。
子供が読むメモを送る
メモを弁当箱やロッカーに入れることができます。「愛してるよ!」というメモは子供を安心させることができます。
子供と、子供のクラスメイトに援助を提供する
大人の助けは、それが教師かカウンセラーかにかかわらず、子供と、子供のクラスメイト両方にとって有益かもしれません。
子供の努力に報いる
自宅と同じように、努力や、正しい方向への小さな達成は、褒めるに値します。
自分自身のストレスを和らげて、子供を助ける
不安やストレスのある両親を持つ子供は、分離不安になりがちです。子供の不安を和らげやすくするために、親としては落ち着いて、自分を取り戻す対策を取る必要があります。
気持ちを話す
ストレスの多い状況を変えるために何もできないとしても、自分が行っていることを表現することは、気分を非常にすっきりさせられます。
定期的な運動
運動は、ストレスを軽くしたり防止したりするために有効です。
適度な食事
身体の栄養状態が良いとストレスに対処するのに有利です。フルーツ、野菜、良い脂肪をたくさん食べ、ジャンクフード、甘いスナック、精製された炭水化物は避けてください。
リラクゼーションの訓練をする
ヨガ、深呼吸、または瞑想のようなリラクゼーション技術でストレスレベルをコントロールすることができます。
充分な睡眠をとる
疲れを感じるだけでストレスが増し、もやもやした気分になります。一方、よく寝ることで気持ちや生活の質が向上します。
ユーモアのセンスを持つ
笑うことは知見を高めるだけでなく、様々なストレスに対処するのに役立ちます。
ユーモアを意識して日々を過ごすことで、ストレスは軽減されるでしょう。
出来事を変えることはできませんが、認識を変えることはできます(リフレーミング)。
サポートしてくれる専門家を捜すタイミング
分離不安障害を持つ子供をサポートするために、自分自身で辛抱強くノウハウを身につけられます。
しかし、分離不安障害を持つ子供に、専門家の介入が必要な場合もあります。
子供のためにサポートを求める必要があるかどうかを判断するには、”警告サイン”、または極端な症状を探します。
これには以下のようなものがあります。
- 年齢に不相応な甘え方や癇癪(かんしゃく)
- 友人、家族、または同僚から距離を置く
- 激しい恐怖や罪悪感に苦しむ
- 身体的な苦しみを日常的に訴える
- 数週間、学校に通うことを拒否する
- 家を出ることを極端に怖れる
これらの症状を軽くしようとしても、うまくいかない場合は、精神保健の専門家を捜すべきかもしれません。 また、これらがトラウマによる症状かもしれないということも覚えておいてください。このような場合は、児童トラウマの専門家に連絡することが大切です。
小児における分離不安障害の治療
小児精神科医、児童心理学者、または小児神経科医は、分離不安障害を診断し、治療することができます。
訓練を受けたこれらの臨床医は、家庭、学校、および少なくとも一回以上の臨床訪問からの情報を統合して診断を行います。
分離不安障害の子供は、しばしば医者の診断が必要となるような身体的な苦痛を訴えることがあることを覚えておいてください。
専門家は、身体的な症状に対処し、不安な考えを特定し、子どもが対処作戦を作るのを助け、問題解決をサポートすることができます。 分離不安障害の専門的治療には、以下のようなものがあります。
トークセラピー
トークセラピーは、子供が自分の感情を表現するための安全な場所を提供します。子供の感情に寄り添って耳を傾け、不安を理解してくれる人物がいることで、強力な治療になります。
遊びセラピー
治療に遊びを取り入れることは、子供が自分の気持ちを話すための一般的で効果的な方法です。
家族のためのカウンセリング
家族へのカウンセリングは、子供が持っている、不安を助長する考えを中和するのに役立ちます。親として子供へのサポートをする方法を知ることもできます。
学校に基づくカウンセリング
分離不安障害を持つ子供の、社会的、行動学的、学問的な要求を探るのに役立ちます。
投薬
分離不安障害が重い場合は、薬剤を使用することも治療法のひとつですが、投薬だけではなく他の療法と組み合わせて使用すべきです。
以上が分離不安障害についての対処法でした
以上でしたがいかがでしょうか?
分離不安障害は普通のメンタル系の問題とは別途な対処が必要な領域です。
分離することを子供のペースでだんだんと慣れていってもらえるように関係性をデザインすることが重要です。
ぜひ参考にしてやれることからアクションをしてみてください。