介護ストレスの解消法。限界を超え燃え尽き症候群にならないためのチェックリスト

目次

介護のストレスとうまく付き合うためのヒント

介護への取り組みは、特に、状況が自分の能力を超えていると感じていたり、状況をほとんどコントロールできないと感じていたりする場合は、圧倒されそうに思うかもしれません。

介護ストレスが対処せずに放置されたままでいると、自分の健康、人間関係、心の状態が犠牲になり、結果として、介護による燃え尽き症候群に至ることもあります。

燃え尽きてしまうと、何か行動を起こすことは困難なことで、人のことを思いやる余裕もなくなってしまうでしょう。

それくらい介護によるストレスは大きく、大変なものなのです。

そうなってしまう前に、自分のことを思いやるのは贅沢なことではなく、必要なことなのです。

介護ストレスをうまくコントロールして、生活のバランス、喜び、希望を取り戻すための方法を今回はご紹介していきます。

ストレスマネジメント大全-ストレスを解消し、減らす8つのポイント/方法-

一般的なストレスマネジメントは上記記事も参考にしてみてください。

介護による燃え尽き症候群とは何?

介護による燃え尽き症候群とは、長期に渡り介護のストレスにさらされたことによって起こる、感情、精神、身体が疲れ切った状態のことです。

実際に、愛する人を介護することは、とてもやりがいのあることですが、一方で多くのストレスにもなります。

介護は、数年、場合によっては10年以上に渡ることもあります。長期間にわたる介護が生みだすストレスは、特に損害を与える可能性があります。

家族が快方に向かうという希望がない場合や、最善の努力にもかかわらず状態が徐々に悪化している場合は、特に失望の思いを抱きやすいものです。

身体的、感情的なサポートが得られない状況におかれた人は、介護のストレスによって、うつ症状や不安、燃え尽き症候群など広範囲の症状に対する抵抗力が弱まることがあります。

実際に高いストレス状況下であったり燃え尽き症状が発症してしまうと、介護者と介護されている人の両方が苦しむことになります。

だからこそ、自分の生活上のストレスレベルを管理することは、家族が医師の診察を受けたり、時間通りに薬を飲んだりするのと同じくらい大切なことです。

いま取り組んでいる介護がどれほどひどい状況でも、ストレスレベルを緩和し、介護燃え尽き症候群になることを避け、再びポジティブ思考を取り戻して希望を得るために、できることがたくさんあります。

介護ストレスによる燃え尽き症候群のサインと症状

介護者であるあなた自身のストレスを認識する方法を知り、問題に対処し、燃え尽き症候群を防ぐための対処が可能となります。

また、すでに燃え尽き状態であっても、できることはあります。

いったん燃え尽き症候群になると、介護する人とされる人の両方にとって、介護という行動自体が、もはや健康的な選択肢であるとは言えなくなります。

したがって事前の警告サインを見逃さないことが大切になります。

介護ストレスに共通する警告サインと症状

  • 不安、うつ症状、いらいら感
  • 疲労感
  • 睡眠障害
  • ささいなことに過剰に反応する
  • 健康状態の新たな問題、または悪化
  • 注意力散漫
  • 怒りが増してくる
  • 過剰な飲酒、喫煙、または過食
  • 責任の放棄
  • レジャーの機会が減る

介護燃え尽き症候群に共通する警告サインや症状

  • 体力がかなり衰えてしまう
  • 流行している風邪やインフルエンザにことごとく感染する
  • 睡眠をとった後や、休憩をとった後でさえ、いつも疲弊している
  • 忙しすぎてやる気が起きないので、自分のことを放ったままにしてしまう
  • 生活が介護中心に回っており、満足感がほとんど得られない
  • サポートを受けられる状況なのに、リラックスできない
  • 介護している相手に対して、せっかちさやイライラが増す
  • 無力感や絶望を感じる

愛する人をケアすることは決してストレスフリーではありませんが、以下のヒントは、介護者であるあなたの負荷を軽くして疲労を避け、人生のバランスをより良くするのに役立ちます。

無力感を無くして、介護燃え尽き症候群を防ぐ

無力感は、燃え尽き症候群や、うつ状態の最大の原因です。

予期せずはじまった介護者という役割に悩まされたり、より良い方向に物事を変えることができないと感じたりする場合に、介護者としては燃え尽き症候群に陥りやすくなってしまいます。

しかし、どのような状況であっても、特に心の状態については、あなたは無力ではありません。

余暇の時間やお金、身体的サポートはいつでも得られるものではありませんが、実は幸福感と希望という心の状態については、いつでも得ることができます。

受け入れる練習をする

愛する人の病気や、介護の重責などの不条理さに直面しているとき、この状況の意味を理解しようとして「なぜ?」と自分自身に問いかけることがあるかもしれません。

しかし、自分の力で変更することができないものや、明確な答えがない問に自分のエネルギーを費やすのは建設的ではありません。

理由やなぜ?と問いかけても、結局、良い進展が何も得られ無かったと感じるだけでしょう。自分を責めてしまったり、誰かのせいにしてしまったりする心理的な罠を避けましょう。

理由やなぜ?という気持ちを捨てて、ただただ受け入れるということが大事です。

自分が介護するという意義のある選択をしたことを受け入れる

どんな憤りや負担にもかかわらず、介護をするという意識的な選択をしたのは自分であるということを認めて、その選択をしたポジティブな理由に注目しましょう。

自分を育ててくれた親に恩返しの意味で介護するという理由もあるでしょう。

あるいは、自分の子供にお手本を示したいということもあるかもしれません。

これらの深く意味のあるモチベーションは、困難な時間を乗り切るための助けになり得ます。

介護に人生を乗っ取られないようにする。

人生で見返りのあることが他にもあると思えば、困難な状況も受け入れやすくなります。

自分の存在そのものをまるごと介護に乗っ取られないようすることが大切です。

たとえば家族、教会、趣味、仕事など、介護以外に意味や目的を、自分に与えてくれるものを探しましょう。

コントロールできることに集中する。

一日の時間が24時間以上あるようなことを望んだり、兄弟がもっと手伝ってくれるようには望んだりはしないほうが良いでしょう。

自分ではコントロールできないことを望んでストレスをためるより、自分で選択または対応できる範囲の問題に集中しましょう。

コントロールできないことは考えずに、自分がコントロールできることに集中することが大事です。

小さな成功を喜ぶ。

もし、自分が落胆し始めたと感じたら、すべての努力が重要であることを思い出してください。

愛する人の病気はあなたが治す必要はないのです。

介護相手である愛する人を安心させ、快適にさせ、愛されていると思わせることの大切さを過小評価しないでください。

介護を日常的にしていると、介護自体の大切な価値を忘れてしまいがちです。

あなたがしている介護はとても意義があり、価値のあることなのです。

必要な感謝を得る

感謝されていることが感じることができれば、厳しい介護によるストレスフルな状況を受け入れるだけでなく、人生がもっと楽しめるものになります。

研究の結果、感謝されていると感じている介護者は、身体的にも感情的にも健康的である傾向があることがわかりました。

課されていることが多いにも関わらず、介護することによって幸福感が得られ、健康にもなるということです。

しかし、介護される人が、介護者の努力に感謝したり、感謝の意をあらわしたりできなくなったら何ができるでしょうか。

愛する人が、もし健康であればどのように応答するか想像する

介護相手である愛する人が、病気や苦しみ(または痴呆)に侵されていないとすれば、自分が介護を通して与えている愛や介護についてどのように感じるでしょうか?

もし彼らが感謝を表現できる状態なら、表現しているはずだということを忘れないようにしましょう。

自分の努力を賞賛する。

もし自分が行っている介護の取り組みが、人からの賞賛を受けられないならば、自分自身にご褒美を与える方法を見つけましょう。

自分は介護という尊い行いをしているのだということを思い起こすために、もっと具体的なことが必要ならば、介護している内容のリストを作っておいて、気分の落ち込みを感じるときに、このリストを見返すことで気持ちをポジティブに変化させられます。

協力的な家族や友人と話す。

ポジティブな追加サポートは介護している相手からは受けられません。

感謝されることを感じじる機会が少ないと感じたら、話を聞いてくれて努力を認めてくれる友人や家族を頼ってみましょう。

意図的に自分を肯定してくれる人と過ごすというのは、ヤラセ感がありなかなかやりにくいことかもしれませんが、
効果は絶大なので、あなたが辛くなったときは躊躇せずに助けを求めてください。

介護のサポートを頼む

定期的な休憩やアシストなしで、自分一人で介護の全責任を負うことは、まぎれもなく介護による燃え尽き症候群へ向かってしまう典型的な例です。

全てを一人でやろうとしないでください。

レスパイトケア(高齢者や障害者を介護する家族の負担を軽くするために一時的に施設が預かる介護サービス)の利用を検討する

近くに住む友人や家族に、お使いをしてもらったり、患者に温かい食事を与えてもらったり、「ベビーシッター」してもらうなどの協力を得ることで、充分な休憩を取ることができます。

ボランティアまたは有償の在宅サービスは臨時や定期的にも受けられます。

あるいは、デイケアセンターや老人ホームなどのレスパイトケアを探すこともできます。

話をして知ってもらう

自分が何を必要としているか、あるいはどのように感じているかを、何もしなくても友人や家族が自動的に理解できると期待しないようにしましょう。

自分や介護している相手に何が起こっているか正直でいましょう。

状況をどのように改善すればよいか心配ごとがある場合は、聞き手がどのように受け取るかわからなくても、そのことを表現して、会話を進めましょう。

役割を分担する

できる限り多くの家族メンバーに介護に関わってもらいましょう。

遠くに住んでいる家族メンバーでさえ助けになり得ます。介護を細かいタスクに分解するのも有効です。

たとえば、一人が投薬の担当をし、他の一人は財務や支払いの担当、他の一人は食料買い出しや雑用などの分担のしかたがあります。 

定期的な「チェックイン」を設ける

家族や友人、または教会やシニアセンターのボランティアの人に一日一回や週一回、または必要に応じた頻度で状況報告を自分にくれるように頼みましょう。

こうすれば、いま取り組んでいる介護に関する最新の状況を広く把握できて、家族メンバーの調整もしやすくなります。

誰かが助けてくれるときは助けてもらう

自分をサポートしてくれる人に気持ち良くいてもらいましょう。

手伝ってくれる人が何をすれば良いか判りやすいように、細かいタスクのリストを用意しておくのは賢い方法です。

細かいタスクとは例えば、自動車でスーパーマーケットに迎えに行く、介護される人の送り迎えをする、といったことです。

手伝ってくれる人を細部までコントロールしようとせず、ある程度は任せる

もし、手伝ってくれる人を細部に至るまで管理したり、自分のやり方を相手に強制したりすると、喜んでサポートしてくれなくなってしまうかもしれません。

手伝ってくれる人が手伝いやすいように自由にしてあげましょう。

手伝ってくれるだけでありがたいことです。神経質にならずに手伝ってもらいましょう。

自分自身に休みを与える

忙しい介護者としては、レジャーの時間を持つなど不可能な贅沢のように思えるかもしれません。

しかし、それは自分次第です。自分だけでなく介護相手にも同様に休憩を課して、スケジュールに書き込むことができます。

毎日の日課として休む事を自分に許可しましょう。そうすることで、よりよい介護者にもなれるでしょう。

忙しいことと、生産的であることは別のことです。

ストレス解消と自分を充電させるための休憩時間を日常的にとっていなければ、長期間の介護を乗り切ることが難しくなり、やがて疲れ切ってしまうでしょう。

休憩すれば、より体力がみなぎって集中力が増すことが自覚できます。すぐにでもリラックスするための時間を設けましょう。

人との関係性を維持する

介護のめまぐるしさに追われて、自分の友人関係を失わないようにしましょう。

人間関係は自分がポジティブであるために効果的です。家を離れるのが難しければ、ティータイムやディナーとして友人を自宅に招待しましょう。

感情を共有する

自分が経験したことを表現するというシンプルな行動は、気持ちをすっきりさせるのに効果的です。

自分の感情を家族や友達と共有することは、その相手にとって、それほど負担にはなりません。

実は、多くの人は頼りにされることに悪い気はせず、頼りにすることでその相手との関係性が強くなります。

楽しめる活動を優先する

読書やガーデニング、日曜大工の研修、編み物、犬と遊ぶ、スポーツ観戦など幸福感をもたらしてくれることに取り組むための、定期的な時間を設けましょう。

自分を甘やかす方法を見つける

小さな贅沢は長期間に渡る介護のストレスを和らげ、気力を高めてくれます。

ろうそくに灯をともし、長時間入浴したり、配偶者に背中のマッサージを頼んだり、新しいマニキュアを買ったり、家に新鮮な花を買って帰るなど、特別感が得られるような小さな贅沢をしましょう。

笑うようにする

笑うことは素晴らしい抗ストレス薬で、ほんの少しだけでも効果があります。

面白い本を読んだり、喜劇を観たり、笑わせてくれる友人に電話をかけたりしましょう。

そして毎日の生活でも、可能なときにはいつでも面白いことを見つけるようにしましょう。

外出する

ときどき外出できるように、介護されている人の面倒をみてくれる友人や家族、業者を探しましょう。

自分自身の健康に気を配る

自分の体を自動車だと思ってください。正しい燃料と、適切なメンテナンスによって自動車は信頼できる良い走りができます。

維持を怠るとトラブルの種となります。本当ならば避けられる健康の問題によって、介護の取り組みに余分なストレスを増やさないようにしましょう。

自分が医者にかかることを優先する

愛する人を介護するのに忙しいときは、自分自身の健康には無頓着になりがちです。

健康診断や医師の診察は後回しにせず、是非受けてください。

よりよい介護をするには、自分が健康である必要があります。

運動する

ストレスを感じ疲れている時には、運動などする気が起こらないことでしょう。

しかし、運動をすれば気分が良くなることでしょう。運動は力強くストレスを緩和してくれます。

一日あたり30分以上の運動を心がけましょう。10分単位に分割しても良いです。定期的に運動することで、体力が増し、疲労と戦う助けにもなることに気付くでしょう。

リラクゼーション技術を実践する

毎日リラクゼーションや瞑想を実践することで、ストレスを和らげ喜びの気持ちを高めてくれます。

ヨガ、深呼吸、漸進的筋弛緩法、マインドフルネスを試しましょう。

介護で圧倒的に忙しい日々ですが、数分でも良いので試してみると冷静になれることでしょう。

体に良いものを食べる

魚やナッツ類、オリーブオイルなどをはじめとして、新鮮な果物や、野菜、脂肪分の少ないたんぱく質を摂取して自分の体に栄養を与えましょう。

これらは確かなエネルギーを提供してくれます。一方、砂糖やカフェインは素早く強壮剤のように効きますが、効き目が切れるのも早いのでなるべく避けましょう。

睡眠時間を削らない

少なくとも、より多くのことを達成したいならば、睡眠時間を減らすことは非生産的です。

ほとんどの人は思っているよりも多くの睡眠時間を必要としています(8時間が基準です)。

睡眠時間が短くなると、気力、体力、生産性やストレス対処能力に悪影響を与えます。

介護者サポートグループに参加する

介護者サポートグループは、自分の困っていることを共有したり、同じような状況を日々経験している人を見つけたりするのに素晴らしい手段です。

家から離れられないならば、アクセス可能なグループはインターネット上にもたくさんあります。

ほとんどのサポートグループでは、自分の問題を話し、他の人の話を聞くということをします。

つまり、自分がサポートを受けるだけでなく、他の人を助けることもできます。

最も大切なことは、自分は一人ではないと気付くことができる点です。

他にも同じような状況の人がいると知れば気持ちが楽になり、もし自分の愛する人と同じ病気にかかっている人を介護している人がいれば、その人から得られる知識は、とりわけ貴重なものとなります。

介護者サポートグループ:オフラインとインターネットの比較
オフラインのサポートグループインターネット上のサポートグループ
近くに住んでいる人同士で、毎週または毎月、会場で会う世界中の人が同じような問題を抱えている
近くに住んでいる人と面と向かって会い、新しい友人を作る機会があるEメールリスト、ウェブサイト、掲示板、SNSなどを介してインターネット上で会う
ミーティングは、外出や移動をする機会や、社会的な接点を与えてくれるので、孤独な感を軽くできる家を出なくてもサポートを受けられるので、移動手段が乏しい人にとって良い
決められた時間に開催されるミーティンググループの利点を全て得ようとするならば、毎回出席する必要がある都合の良いとき、またはサポートが欲しいときにグループにアクセスできる
サポートグループのメンバーは自分と同じ地域に住んでいるので、地元の問題やサポート施設などに詳しいもし、介護を受けている人が、たとえばとても稀な病気であれば、地方のグループにはもしかするとその知識を持った人がいないかもしれないが、インターネット上には数多くの人がいる可能性が期待できる

 

地方のサポートグループを見つけるには、電話帳を調べたり、主治医や病院に聞いたり、愛する人の健康問題に取り組んでくれている地方の組織に問い合わせるなどの方法があります。

インターネット上のサポートグループを見つけるには、愛する人の健康問題に特化している組織のウェブサイトを参照すると良いでしょう。

寺谷春のプロフィールはこちら    相談もお気軽にどうぞ。