あなたが性格を変えられない4つの理由とは

あなたは、「自分の性格を変えたい!」と思ったことはありませんか?誰しも一度はあるのではないでしょうか。ずぼらな性格を変えたい、もっと明るい性格になって女の子にモテたい(切実)・・・など、人の分だけその願望はあると思います。

しかし、自分の性格を変えようと思い、実現できたという人はどれくらいいるでしょうか?毎日の積み重ねで形成された自分の性格を変えるというのは非常に難しいことだと思います。なぜ、そんなに難しいのでしょうか。それには、衝撃の理由が4つあります。

①「性格を変えない」という保守的な決断をしている!

この理由を読んで、「えー!」と思った方はたくさんいると思います。「自分の性格を変えたいと心の底から思っているのに、性格を変えない決断を自分でしているって、おかしな話ではないか!?」とビックリ仰天される方もいると思います。

実は、私たちは普段から無意識にそういった選択をしているのです。もともと、性格とは、変わりやすいものなのです。

人は、自分の性格を変えないための能動的な努力を絶えず行っているため、性格は変わらないのです。放っておくと性格はどんどん変わっていきます。それでは何かと支障をきたすこともあるので、性格が変わらないように、常にエネルギーを無意識的に注ぎ込んでいるのです。そのため、人は保守的になりがちです。ここで一つ、保守的になっている例を紹介しましょう。

保守的になっている例~親父の文具屋を受け継ぐ、モジ男~

親の代から文具屋を営むモジ男。儲かってはいないけれど、細々と経営をしています。そんなモジ男は、毎日口癖のようにこう言っていました。

「ああ、こんな商売はもう嫌だ。サラリーマンの方が儲かるし、公務員の方が老後だって安泰だよなあ。もっと違う生き方があるはずだ。」

 それを聞いたモジ男の妻は言いました。

「あんた、文具屋よりも儲かる仕事に転職してみたら?きっと、商売よりサラリーマンとかの方があんたに向いているわよ。」

 モジ男は、ひょっとしたら一時は心動かされるかもしれませんが、結局はこう思うでしょう。

<なるほど今の商売はそう向いているわけではない。でも、子供のころから慣れ親しんだ商売だから、とにかくよく知っている。大成功はないにしても、大失敗もないだろう。今転職しても、この年だし、右も左も分からない仕事を始める方が失敗する可能性がある。何と言っても不安だし億劫だ。ここは、やはりやめておこう。>

モジ男の保守的な考えによって転職の選択をやめたように、性格を変えることをやめてしまっているのです。

②思い込みにより、自分に合っていないものは排除している!

性格とは、その人固有の信念の体系です。そして信念は、思い込みが一種の色眼鏡として作用することで、形成されていきます。

思い込みの例~被害妄想キャラ絶望くんとプラス思考キャラ希望くん~

ある日、絶望くんがうつむきながら廊下を歩いていると、向こうから絶望くんが好意を寄せているキラキラちゃんが歩いてきました。キラキラちゃんは、絶望くんのことを見て、ふっと目をそらしました。それを絶望くんは、「僕のことを嫌いだから目をそらしたんだ」と、とても絶望的な気持ちになって彼女に気づかない振りをして通り過ぎてしまいました。

またある日に、希望くんが廊下を歩いていると、キラキラちゃんが歩いてきて、絶望くんと同じように視線をそらしました。しかし、希望くんは絶望くんとは違い、「僕のことを好きだから、恥ずかしくて目をそらしたんだ」と思い、「よっ!キラキラ、こんなところで会うなんて奇遇だなぁ!これから一緒に弁当食べようぜ!」とキラキラちゃんを誘いました。

キラキラちゃんが本当はなぜ目をそらしたのかとは関係なく、本人の勝手な思い込みによって、人は行動するのです。

このように、人は、客観的な出来事に反応して生きているのではなくて、客観的な出来事に対して、自分の思い込みや主観的な意味づけをして、それに反応して生きています。すなわち、出来事から人の反応までの間には性格が介在しているのです。そして、人は、自分の性格に一致した、矛盾のないデータだけを受け入れようとします。よって、自分の都合の良いことだけを取り入れて、都合の悪いことは無視してしまうのです。

③性格は個人と環境の相互作用で固定化されている!

性格は、環境との相互作用の中で固定化されたシステムを作っているので、変わりにくいということもあります。ちょっとわかりづらいので、具体例を通して考えてみましょう。

性格と環境の相互作用の例~思い込みにより好意を受けとめられなかった女子~

例えば、「自分のことを好きになってくれる男子なんているわけがない」と思っている女子がいたとします。そして、ある男子が彼女を好きになったとします。
しかし、女子はそれを認めようとせず、「男子が私のことを好きになるはずがない。これは何かの間違いよ。どうせ私のこと、罰ゲームか何かで冷やかしているんでしょう」と疑い始めます。そして、彼を疑いの眼差しで見るようになり、距離を置くようになりました。やがて
、彼は彼女から離れて行ってしまいました。
ところが彼女は、悲しむどころか安堵するのです。「ほらね、やっぱり私のことを好きになる男子なんていやしない。私は、正しいんだ。」と。

人間は、法則と例外とを分ける癖があります。目の前で起こったできごとが法則なのか、例外なのかを見分けるのが性格です。しかし、性格というのは、この法則を主観的に決めている思い込みです。先ほどの例のように、彼女の思い込みとははずれ、彼に好意を抱かれると、「そんなはずはない。例外的なことをしているように見えるけど、本当は違うんでしょう。法則に則って動いているんでしょう」と思うわけです。それによって相手が離れていったように、やがて彼女を取り巻く環境も変わってくるのです。

こちらの性格によって、相手が反応して出方を変えます。性格はその人を取り巻く環境を変えていくということです。もちろん、環境が性格を変えることもありますが、いったん性格を持てば、その人は周囲の環境との相互作用で自分の性格を作り変えていきます。

「私はいつも不幸だ」と信じている人は、実際に負のオーラをまとった人たちが集まり、「私はいつも幸せだ」と信じている人の周りには、実際に生き生きした人たちが集まるというのも相互作用の結果といえます。

④長年持ち続けている性格を変えることがモッタイナイと感じてしまう!

よく、年は取るほど性格は変えられないといいますよね。これ、実は本当の話なのです。年を重ねた分、期待や思い込みが大きくなるからです。同じ性格や考え方を長年持ち続けることで、性格・思考を変えることがもったいないと感じてしまいます。これは、一般的にサンコスト効果と呼ばれるもので、もったいないという心理によって、過去に発生している出来事が、現在の意思決定に影響を及ぼすことを言います。

サンコスト効果の例~壊れたパソコンマニア君のパソコン~

パソコンマニア君は3年前にノートパソコンを10万円で買いました。最近パソコンの調子が悪く、修理に出したところ液晶画面の取り換えとなり3万円支払いました。パソコンは快調に動きましたが、今度はハードディスクなど次々に悪くなり、店に相談したところ、6万円かかると言われました。

この時、マニア君は悩みました。「先に3万円の修理代を支払って、今度は6万円、合わせて9万円かぁ。これに少し足せば新しいものが買えてしまう・・・。今のパソコンを諦め、買い替えようか・・・。しかし、それでは先に支払った3万円は全くの無駄金となっちゃうなぁ。最初に修理を頼んだ判断も間違っていたことになってしまう。ええい!こうなったら、6万円を追加で払って修理してもらおう!」

マニア君が、先に支払ったコスト(金と時間)が無駄になってしまうことを恐れたように、性格の場合も長年入れ込んできた性格を変えるのはもったいないと感じてしまうのです。しかも、思い入れやコスト(時間)が大きければ大きいほど、心理的効果が増幅されていきます。

さて、ここまで性格を変えることが困難な理由を4つ述べて参りましたが、思い当たる節はありましたか?では、今までのことをまとめておきましょう。

 

性格を変えることが難しい理由は4つ

    保守的だから。
   
思い込みで凝り固まっているから。
  性格は個人と環境との相互作用の中で固定化してしまうから。
    自分の性格を変えるのがもったいないと感じてしまうから。

いかがでしたか。他にも理由はあるかもしれませんが、あなたにこれだけは覚えておいていただきたい。その性格は、あなた自身が「変えないことを決断している」ということを。

寺谷春のプロフィールはこちら    相談もお気軽にどうぞ。