男性であれ女性であれリーダーは、”男性的な素質”を持っている。女性的なリーダーシップとは。

日本の女性役員登用率は著しく低く、”リーダーは男性が常識”が蔓延してそう

今の日本では女性の社会進出が問題となっており、先進国の中でも女性が役員となっている率が著しく低かったりするのです。

経済産業省が発表した下記資料をみていただきたいのですが、トップのノルウェーでは役員のうちの40%が女性であり、管理職(日本でいう部長でしょうか)でみても30%程度の比率となっています。

それに対して日本は管理職の女性比率は10%ちょっとに留まり、役員の女性比率にいたっては1%もないくらい低い率になってしまっているのですな。

経済産業省の資料によると、日本は先進国の中でも女性の役員登用率が著しく低い

皆さんの周りを見渡しても実感できると思うのですが、役員や取締役に関しては男性ばかりだし、管理職だとしても女性部長となれば会社の話題になるくらいには珍しいことなんじゃないかなーと思っております。

そんな日本の状況を生み出している要因の1つには”男は男、女は女という文化”があるなーと個人的に感じています

男らしくない、女らしくない、女々しいなどなど男がこうあるべき!であったり女がこうあるべき!っていう固定観念が他の国より強いのだろうなーと。

その一方、「最近は男女を平等に扱わなきゃダメだ!同じ人間なんだ!」という意見も強くなってきてはいますが、個人的に男と女を本当に一緒くたに考えるのもそれはそれで違うなぁと思うのですね。

”あなたは女性だから●●””あなたは男性だから○○”というようなことはやってはいけないと思うのですが、”男性に多いこのような素質はこんなことに向いている”であったり”女性に多いこんな素質はこんなことに向いています”ということは世の中に当たり前に存在しているはずでして・・・。

だって、女性の部長とかってなんか男っぽくありません?っていう疑問に答えたのが今回紹介する研究です。

実は欧米も男性であれ、女性であれ、リーダーは男性的な性格を持ち合わせている

そんな個人的な興味の中、リーダーの素質についての面白い研究があったのでご紹介。

ベルギーなどの欧州における600人の取締役(うち143人が女性)と52,000人の一般社員(うち17,463人が女性)を対象とした人格テストの結果を分析しました。

管理職などのリーダーシップの役割ではない男性と女性の性格を比較してみると、女性は協調性や共感性などの性格要素が高くでていましたが、逆に性格の安定性(感情の起伏)などは男性よりも低く数値がでていました。

これはそもそも元から考えられていた、男らしさと女らしさの違いですね。

つまり、リーダーシップの役割でない男女は性格特性に明確な違いがあったのです。

逆にリーダーシップの役割である男性と女性の性格を比較したところ、かなりの類似を示しており元々示されていた男性と女性の性格の違いというものはほぼなかったのです。

このベルギーの研究によると、取締役であったり管理職と言うリーダーシップを持つ女性は古典的な男性性格パターンと同様の性格を持っているとの見解を出しました。

女性の社会進出、女性のリーダーシップなどが話題になっていますが、リーダーになるような女性は旧来の男性と同様の性格を持ち合わせているのですね。

男性社会だから”女性的な性格”がリーダーシップとして評価されていない?!

個人的に興味深いのはこの研究結果が、日本ではなく欧米ででているということなんですよね。

日本でこの研究結果が出ているのであれば、「あー、日本は男性社会だから、男性的な性格が評価されるようにできているんだよね」っていう解釈が可能ですが、
女性の社会進出が進んでいる欧米でさえ、男性的な性格が評価されているのです

リーダーシップの役割、つまりは取締役や管理職はポスト数が多くはないので、仮に女性が半数を締めたとしても、男性的な性格を持つ女性であることは不思議なことではないですよね。

今後の気になる論点としては、

1.女性的な性格はリーダーシップにマッチするのか否か

サーバントリーダーシップや女性的な性格特性を活かしたリーダーシップの分野は近年非常に研究されております。

奉仕型のリーダーシップの効用や事例が世の中にだんだんと出てきているので、個人的には女性的な性格にマッチするリーダーシップはあると思っています。

従来の先導型のリーダーではなく、サポート型のリーダーという種類も今後認識されていくはずです。

また、リーダーだけが人生の目標でないのだから、メンバーとして充実した仕事をするっていうのも1つの価値観だと思います。リーダーだけが正義みたいな価値観は昔の価値観ってイメージがしますしね。

2.女性的な性格がリーダーシップにマッチする場合、どのような組織・形態なのか

さて、サーバントリーダーシップや奉仕型リーダーシップ、女性性のリーダーシップはどのような組織、形態、場面でより活かされるのでしょうか?

従来の男性的なリーダーシップと女性的なリーダーシップの差は明確にあるため、効果のある組織、形態、場面も差があるはずです。

個人的な見解としては、男性的なリーダーシップは変革期や立ち上げ期に有効であり、
成熟期などには女性的なリーダーシップが有効だと考えています。

どん底の時期や立ち上げの時期に自身がゴールを掲げ、それに向かってとてつもないパワーで邁進するという男性的なリーダーシップ

逆にすでに回っているものを、さらに良くしていく、内部の力を使って飛躍させていくという女性的なリーダーシップ

それぞれのリーダーシップに合う場面、合わない場面があるのですね。
男性的なリーダーシップの強いリーダーは女性的なリーダーシップを時折意識すべきだし、女性的なリーダーシップの強いリーダーは男性的なリーダーシップを意識すべきだとも考えられそうです。

3.男性的な社会の中で女性的リーダーシップを浸透させるにはどうするべきか

これぞ近年の日本にとって難題です笑

よくSNS等では「男性社会おわってる!ほんとうにクソ!」のような男性社会に不満をぶちまけるアカウント等も散見されますが、不満をぶちまけているだけでは自分の人生は変わっていかないのですよね。

どのようにリアルを変えていくのか、女性的なリーダーシップを浸透させていくのかは非常に大きな課題です。

もし個人レベルでの人生を変えるのであれば、まずは自分のチームを持ち実践をしていくっていうところがスタートでしょうか。

4~5名のチームレベルであれば、社会的な価値観とは距離を置いて自分自身の価値を判断してくれます(部長とかになろうとすると、実際の働きぶりや実務、価値を知らない人から判断されるので、旧態然とした社会的な価値観に引っ張られがち)

4~5名のチームかつ、今あるものをより良くしていくことが求められる環境を作り、チームメンバーに対して奉仕型のリーダーシップの価値を提供していく。

こういった積み重ねをすることで、だんだんと波紋のように影響が広がっていくことでしょう。

ちなみに以前増幅型リーダーシップをご紹介しましたが、チームのメンバーの能力を爆発させるという観点で、女性的リーダーシップに近しい部分があるかと思います。ぜひ参考にしてみてください。

増幅型リーダーシップ論:リーダーに必要な5つの要素と誰でもリーダーシップを高める方法

以上、今回は女性のリーダーシップ、サーバントリーダーシップについて考えてみました。
もっともっと女性の社会進出、さらには女性的なリーダーシップの価値が進展していくことを願ってやみません。

また、女性性については書こうと思います。それでは。

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