イワン・パブロフによるパブロフの犬の条件反射。最も有名な心理学の実験

イワン・パブロフによるパブロフの犬は偶然の発見?!

多くの偉大な科学的進歩と同様に、パブロフの条件付け(古典的条件付けとも言う)は偶然発見されました。

1890年代、ロシアの心理学者イワン・パブロフはエサに反応した犬の唾液分泌について研究していました。

彼は犬の頬に小さな試験管を挿入し、犬がエサ(肉でできた粉)を与えらえた時の唾液を測定しました。

パブロフは、目の前にエサを置かれた犬が反応して唾液を出すことは予測していました。

しかし、エサを持ってくるアシスタントの足音を聞くと必ず犬が唾液を出し始めることにパブロフは気が付きました。

犬は、食べ物と関連すると学習した物や出来事(研究所のアシスタント等)に対して、同様の反応を示すことを見いだし、パブロフは重大な科学的発見をしたことに気づいたのです。

そうしてパブロフは、この種の学習に関して生涯研究に取り組みました。

↓パブロフにも影響を与えたソーンダイクの効果の法則も御覧ください。

エドワード・ソーンダイクの効果の法則。パブロフの犬にも影響を与えた心理学者

パブロフの条件付け(中性刺激を条件刺激へと条件付ける)

パブロフ(1902)は、犬には学ぶ必要のない物事があるという考えからスタートしました。

たとえば、犬は食べ物を見るといつも唾液を出すということを学習しません。この反射はもともと犬に備わっているのです。

行動主義学の用語では、食べ物は条件刺激となり唾液分泌は無条件反応となります(すなわち、学習を必要としない刺激―反応の結合)。

無条件刺激(食べ物) > 無条件反応(唾液)

彼の実験では、パブロフは中性刺激としてメトロノームを使用していました。メトロノームのみでは犬の反応を引き出せませんでした。

中性刺激(メトロノーム) > 無関連反応

次にパブロフは条件付けの工程に入り、犬にエサを与える直前にメトロノームの音を立て始めたのです。

何度もこの手順を繰り返し実験した後、彼はメトロノームのみを提示しました。

ご想像どおり、もうメトロノームのカチカチという音のみで唾液分泌の増加を招いたのです。

条件刺激(メトロノーム) > 条件反応(唾液分泌)

したがって犬はメトロノームと食べ物の関連性を学び、新たな行動が身についたことになります。

なぜならこの反応は学習され(あるいは条件付けられ)、条件付け反応(パブロフ反応とも言う)と呼ばれています。中性刺激は条件付け刺激となったのです。

パブロフは、関連性が成り立つには2つの刺激がタイミングを合わせて一緒に(ベルのように)提示されなければならないことを見つけました。彼はこれを時間的接近の法則と呼びました。もしも条件刺激(ベル)と無条件刺激(食べ物)の時間が離れすぎていると、学習は発生しないでしょう。

パブロフと彼の研究である古典的条件付けは1890~1930の初期のころから有名になりました。古典的条件付けは「古典的」であり、学習・条件付けの基本的な法則における最初の体系的な研究となっています。

まとめ

古典的条件付け(後にワトソンにより発展、1913)とは、新たな刺激が同様の反応をもたらすことができるように、特定の反応(反射等)をすでにもたらしている無条件刺激と、新しい(条件付け)刺激との関連付けの学習を含んでいます。

パブロフはこの工程を説明するため、むしろ親しみにくい専門用語をいくつか作り出しました。

無条件刺激(UCS)とはもともと反射的/自然な反応を生み出す物または出来事なのです。

これに対する反応を無条件反応(UCR)と呼びます。中性刺激(NS)とは反応を生み出さない新しい刺激のことです。

中性刺激が一度無条件刺激と関連付けられると、条件刺激(CS)となりあす。条件反応(CR)は条件刺激に対する反応のことです。

参考文献

Pavlov, I. P. (1897/1902). The work of the digestive glands. London: Griffin.

Pavlov, I. P. (1928). Lectures on conditioned reflexes. (Translated by W.H. Gantt) London: Allen and Unwin.

Pavlov, I.P. (1927). Conditioned Reflexes: An investigation of the physiological activity of the cerebral cortex. Retrieved from http://psychclassics.yorku.ca/Pavlov/lecture6.htm.

Pavlov, I. P. (1955). Selected works. Moscow: Foreign Languages Publishing House.

Watson, J.B. (1913). Psychology as the Behaviorist Views It. Psychological Review, 20, 158-177.

 

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