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異文化理解力を向上させるために必要な要素②評価
前回はハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化のコミュニケーションの違いについて説明しました。
このようにかなりの違いが見られることが分かったと思います。
そして今回はコミュニケーションのと同様に違いが見られる要素のうちのひとつである”評価”について解説をしていこうと思います、
評価についてどのような国々の違いがあるのかと言うと、
ネガティブフィードバックの仕方に大きく違いが出ると言われています。
直接的なフィードバックか間接的なフィードバックかが重要
直接的なフィードバックを行う国々と間接的なフィードバックを行う国々の分類がされています
直接的なネガティブフィードバックと間接的なネガティブフィードバックのどちらのタイプかを見極めるためには、
ネガティブな言葉の前や後ろにつけて意味を強める言葉を使うかどうかということを判断することが可能です。
例えば”間違いなく”、”まったく”、”とても”といった強い修飾語を使う場合は、かなり直接的なネガティブフィードバックが行われていると考えてよいでしょう。
逆に間接的なネガティブフィードバックを行う文化では、”とも言える”、”多少”、”少し”、”かもしれない”と言ったようなダウングレードするような言葉の修飾をつけます。
例えば「まだ解決に至っていない」と言いながら、「解決には程遠い」という意味であったり、
「単なる個人的な意見です」と言いながら「この問題に関わる人なら誰しもすぐに同意するだろう」という意味だったりします。
ダウングレードってめんどくさいですね笑
どちらかというと、私は直接的なタイプなので、最初っから素直にそう言ってくれ!って思ってしまします笑
イギリス人の言うことと意味すること、それに対してオランダ人が思うこと(受け取り方が正反対)
ここでイギリス人が言うこととイギリス人が意味すること、そしてオランダ人が受け取ることについての表がありますのでぜひ見てみてください。
イギリス人が言うこと | イギリス人が意味すること | オランダ人が受け取ること |
失礼ながら・・・ | あなたは間違っていると思う | 彼は私に賛成している |
あなたは・・・と考えるかもしれませんが、私は・・・ | これは命令だ。従うか、自分の正当性を示してみろ。 | 相手の意見も検討してみて、気に入ったら従おう。 |
ああ、ところで・・・ | 次の批判こそがこの話し合いの目的だ。 | これはあまり重要じゃないな。 |
私は・・・に少しがっかりしました | 私は・・・に本当に動揺し、怒っています | そんなに問題じゃないな。 |
とても興味深いですね | 好きではありません | いい印象を与えたぞ。 |
何か他の選択肢はありませんか | あなたの意見は良いものではありません | まだ決断しないのか。 |
もう少し考えてみてください | 悪いアイデアです。やめてください | いいアイデアなんだな。もう少し掘ってみよう |
確かに私のミスだよ | 私のミスじゃない | あなたのミスだ |
これは独創的な観点だね | 君の意見は愚かだ | 気に入ってくれた |
出展:Nanette Ripmeester
イギリス人は間接的なネガティブフィードバックなのではっきりと言った言葉を言いません。
逆にオランダ人は直接的なネガティブフィードバックカズローコンテクスト文化なので言葉を額面通りに受け取ります。
一番上の「失礼ながら」という言葉を見てみても。イギリス人は「あなたは間違っていると思う」と思っている一方、オランダ人は「彼は私に賛成している」と感じます。
ここまで受け取り方が違うと、喧嘩が勃発しそうですよね笑
そのようにならないために、今回ご説明している異文化理解力が必要なのです。
イギリス人から「これは独創的なアイデアだね」と言われたらみなさんも身構えましょう笑
直接的なネガティブフィードバック・間接的なネガティブフィードバックの定義
直接的なネガティブフィードバックの定義としては、
・ネガティブフィードバックは率直に素直に単刀直入に正直に伝えられる傾向があります。
・ネガティブなメッセージをそのまま伝えてポジティブなメッセージなどで和らげることは全くしません。
・また批判はグループの前で個人に対して行われることもあります。
逆に間接的なネガティブフィードバックの場合
ネガティブフィードバックは柔らかくさりげなくやまりとした後で伝えられます。
ネガティブなメッセージを発するときもポジティブがメッセージで包み込んであり、修飾語をつけて柔らかい表現にしたりと行った工夫が見られます。
また批判は基本的に一対一のみで行われます。グループの前で誰か一人を批判することはありません。
たしかに日本でいえばネガティブフィードバックはなるべく個人間でしますよね。
みんなの前で公然とネガティブフィードバックを受けたら心が折れてしまう人が多そうです^^:
直接的・間接的ネガティブフィードバックの国別の傾向
国別の分布はこちらです。

各国の直接的・間接的なネガティブフィードバックの分布
国別で稽古を見てみると、オランダやロシアやイスラエルやドイツといった国が直接的なフィードバックを行います。
その対極に位置するのは日本、インドネシア、韓国、中国といったアジア諸国が間接的なネガティブフィードバックを好みます。
また直接的なネガティブフィードバックと間接的なネガティブフィードバックの中間ぐらいに位置する国としてはアメリカ、イギリス、カナダです。
アメリカは直接的なフィードバックをするような傾向に思われがちですか、彼らははっきりと物を言うものの、
一つのネガティブフィードバックをするにあたり三つのポジティブフィードバックをするというような傾向があります。
つまりネガティブなフィードバックをある程度柔らかくするためにポジティブなフィードバックも同時に行うのですね。
直接的なネガティブフィードバックの文化への対処法としては、しっかりと素直に正直にそのままの言葉で伝えることが重要です。
例えばオランダ人からするとアメリカ人のポジティブなフィードバックをした後にネガティブなフィードバックをすることは、ある種のごまかしに聞こえてしまうこともあります
直接的なネガティブフィードバックに慣れているオランダにはポジティブなフィードバックをわざわざしてくる人に対して疑念を抱くのですね。
間接的なネガティブフィードバック文化の際に気をつけるべきこと3つのこと
- 逆に間接的なネガティブフィードバックをする文化への対処法としては、なるべく言葉を柔らかくしてあげる。
- グループの前では絶対にネガティブフィードバックをせずにする時は個人個人に対して一対一で行うこと。
- ネガティブフィードバックは少しずつゆっくりと時間をかけて行うことを意識する。
この3点が間接的なネガティブフィードバックを持つ文化への対処法と言えるでしょう。
コミュニケーションの違いに続き評価の違いについて今回は解説しました。いかがだったでしょうか。
アメリカなどは直接にネガティブフィードバックをするのではなくある程度をポジティブに包むところなどは言われてみると確かになといったところですね。
また日本についてはハイコンテクスト・ローコンテクストにおいてもハイコンテクストに偏っている文化ですし、
評価においても間接的なネガティブフィードバックを極端に好む文化であることが分かると思います。
我々が世界の中でどのような文化か、そして各国はどのような文化を理解することによって、
グローバルなチームにおけるネガティブフィードバックの仕方を変えたり工夫したりすることができるでしょう。
一回目もぜひ御覧ください。