異文化理解力を向上させるために必要な要素①コミュニケーションについての理解~ハイコンテクストかローコンテクストか~

アメリカ人と日本人の違いを明確に述べることはできますか?

皆さんはアメリカ人と日本人の違いを明確に述べることはできますか?
欧米の中でどのような外国人がどのような思想・価値観・思考を持っているかを知っていますか?

僕らは日本人として外国の方外国人というくくりである程度理解してしまう傾向にあります。
しかしアメリカなどの多文化の国ではこのようなことは起こりません。いろんな人がいるのが当たり前のような状態で、日本のように”外の人は外”といった大きな括りをすることはできないのです。

島国として日本は海外とあまり交流しない気がついていましたが、近年ではグローバル化に伴い外国人と一緒にプロジェクトだったり仕事をすることが多くなりました

外国人と仕事をすると何かと「え?どうゆうこと?」と驚くような文化の差にいくつか遭遇します。

今回はそんな外国人と仕事をする際にどのような価値観が違っているのか・どのような価値観に沿って色々な人を理解していればいいのかを考えていきます。

異文化理解力①コミュニケーション(ハイコンテクストとローコンテクスト)

まず異文化を理解するために理解すべき概念は、コミュニケーション分野です。
国や文化によりコミュニケーションの仕方というのは大きく異なります。

コミュニケーションについての違いは、ハイコンテクスト・ローコンテクストという二つの文化で説明することができます。

コンテクストとは文脈という意味です。文脈が高いつまりは、”含みのある””はっきりしていない””色々を含んだ”文章がハイコンテクストの文化、逆に言葉自体がそのまま”直接的”であり”わかりやすく””意図や別の意味を含んでいない”場合がローコンテクスト文化と言います。

ローコンテクスト文化では良いコミュニケーションとは厳密でシンプルで明確なものという定義の下で会話をしています。メッセージは額面通りに伝え額面通りに受け取る。コミュニケーションを明確にするならば繰り返しも歓迎される文化です。

ハイコンテクスト文化では良いコミュニケーションとは繊細で、含みがあり、いろいろな意味を込めたものであります。メッセージは行間で伝え行間で受け取るほのめかして伝えることが多くはっきりと口にすることはありません

各国がローコンテクスト文化とハイコンテクスト文化のどちらに寄っているかを、書籍異文化理解力の表からみてみましょう。

各国のハイコンテクスト・ローコンテクストの分布

皆さんがお分かりのように日本は極端なハイコンテクスト文化です。

例えば僕らは直接的に誰かに何かを言ったりすることがありません。誰かに対してこういうところが悪いだとかこういうところが間違っているだとかこういうところは直した方がいいということを、我々はいろんな言葉に包めて言いますよね。

多文化間の共同作業をする場合、ハイコンテクスト×ハイコンテクストが最悪の組み合わせ

ここではローコンテクスト文化とハイコンテクスト文化の組み合わせ別にどのような対策が必要かを考えていきたいと思います。

A.ローコンテクスト文化出身の人が別のローコンテクスト文化の人とコミュニケーションをとる場合(例えばアメリカ人がカナダ人に対してコミュニケーションをとる場合)

この場合はかなり楽です。額面通りに伝え額面通りに受け取るという文化があるので、お互いに糸を読み合うことなくスピード感のある会話が成立します。

B.ローコンテクスト文化出身の人とハイとハイコンテクスト文化の出身の人が会話をする場合(アメリカ人と日本人のコミュニケーションですね)

この場合はハイコンテクスト文化の人が額面通りの言葉を話すので、ローコンテクスト文化の人からすると少し直接的な言い回しに聞こえることが多々あります。

何か褒めるにしても素直に褒められすぎてててしまったり、何か改善点を伝えられるにしてもズバズバと言われて嫌われてるんじゃないかと勘違いもするでしょう

ただこの場合はハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化について、お互いが理解をしていればお互いに気を使うことができます。

ハイコンテクスト文化の人間は相手がローコンテクスト文化であることを理解し額面通りの言葉をなるべく伝えることを意識します

逆にローコンテクスト文化の人間は相手がハイコンテクスト文化であることを考慮しいつも額面通りに言葉を伝えているところをより柔らかに伝えてみる聞き手としては 相手が直接的な表現をしていないためその裏の意味まで理解しようとすることが大事です

Cハイコンテクスト文化出身の人と別のハイコンテクスト文化出身の人が会話をする場合

実はこの場合が一番厄介です。ハイコンテクスト文化出身の人達はハイコンテクスト文化出身の人たちと一見うまく会話ができそうに思いますが、実は全くうまく会話が成り立ちません。

なぜならばハイコンテクスト文化というのはその彼らの文脈を文化的に理解している必要があるからです。

お互いが文脈の考え方をお互いに理解しないとそもそも会話が成立しづらくなってしまいます

なのでこのコミュニケーションの組み合わせで最も気をつけるべきは、ハイコンテクスト文化とハイコンテクスト文化になるでしょう。

単語数からもローコンテクスト文化かハイコンテクスト文化かは一目瞭然

また、ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化は単語数でもかなりの違いが現れています。

例えばアメリカはローコンテクスト文化なので具体的に詳細に伝えることに長けている言語を使っています。

例えば足という単語は日本にはありますか、英語ではlegとfootという部位ごとに単語がありますよね。

このような単語をひとつとっても部位ごとに単語の意味が違ったりするのはローコンテクスト文化の特徴です。

なので、単語数を比べてもローコンテクスト文化はハイコンテクスト文化に比べかなり多くの単語数を必要とします。

例えば英語とフランス語を比べてみるとローコンテクスト文化の英語の単語数が50万語ぐらいである一方、フランス語のようなハイコンテクスト文化の言語は7万語となっております。

かなり単語数からもハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化という違いが見えると思います。

ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化を理解し日常に生かす

ここまでハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化について説明していきましたが、日本国内においてもこの文化の差異が表れているような気がします、

もちろん海外の方に比べるは差は小さいですが、日本国内でも違和感を感じることは多々あるのではないでしょうか。

例えば僕自身といえば日本人の中ではローコンテクスト文化である気がします。
言いたいことは直接言うし、しっかりと分かりやすく伝えることを意識しています。

逆に有名な話では京都などはどうでしょうか。
「少しゆっくりして行きますか」と言われた際に、額面通りに受け取って「じゃあ是非ゆっくりしていきますね」というのは間違いだとよく言われていますよね。

これは典型的なハイコンテクスト文化の特徴と言えるでしょう。

もちろんこれから海外の方と接する機会であったりにハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化について考えることは重要ですが、
自分自身、そして友人、そして上司・部下、そういった中でもハイコンテクスト寄りの人とローコンテクスト寄りな人を分けて考えて行くのも良いかもしれませんね。

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